英資産に買い、選挙後の安定を期待-「退屈な」政治が投資に吉
(ブルームバーグ): 英国の有権者が4日の総選挙の投票に向かうなか、資産運用担当者や銀行のストラテジストは選挙後の政治的な安定を期待し、英国市場を選好している。
米シティグループやカナダのトロント・ドミニオン(TD)銀行は、他の国債市場よりも比較的安全だとして英国債の買いを奨励する。バンク・オブ・アメリカ(BofA)が6月に実施したファンドマネジャー対象の調査では、株式投資家が最も選好する欧州の市場に英国が選ばれた。また先月のポンドは対ユーロでの平均相場が約2年ぶりの高水準だった。
英国資産に対する強気な見方は、同国の選挙に対する市場の冷静さを反映している。特にフランスなどでは見通しが不透明だ。投票前の情勢調査では労働党の地滑り的な勝利が示唆され、14年ぶりに政権が保守党から交代するとみられている。英国市場のボラティリティーは数年ぶりの低水準付近だ。
ラボバンクの外国為替戦略責任者ジェーン・フォーリー氏は「退屈な政治は投資には良い」と述べ、「選挙結果を受けてポンドがやや上昇する可能性がある。退屈で安定した政治が数年続き、それに伴う投資の伸び改善への期待が背景だ」と指摘した。
3日のポンドは3週間ぶりの高値を付けたほか、株価指数FTSE100指数は6月20日以来の大幅高となった。英国債も上昇、10年債利回りは約4.17%だった。
TD銀行のストラテジスト、プージャ・クムラ氏は、英国は米国やフランスよりも財政的・政治的に安定するだろうと述べ、30年物英国債の買いと同年限の米国債の売りを助言した。また、ジェイミー・サール氏らシティのストラテジストは、英国債にとっては「退屈が強気」になるとの見方を示し、選挙が英国債の強材料になると予想した。
UBSウェルス・マネジメントのエコノミスト、ディーン・ターナー氏は「選挙戦やその結果、その後起こり得る展開をどう考えたとしても、この選挙は英国が必要としていた確実性をもたらすだろう」と語った。