アフリカで「アルビノ」を狙った殺人が多発 その背景にあるものは?
1年前に国連が「啓発デー」制定したが……
アフリカの数か国でアルビノを狙った襲撃が相次いでいることは前述しましたが、昨年6月13日には「国際アルビ二ズム啓発デー」が国連によって制定され、アルビノに対する偏見を無くそうという国際的な活動が始まっています。アフリカ以外の国々でもアルビノに対する偏見は今も残っており、1965年にカナダのモントリオールで生まれた実業家のピーター・アッシュ氏も、少年時代にアルビノであることを理由にいじめにあっていました。アッシュ氏と弟はアルビノとして生まれましたが、アッシュ氏の兄を含む家族はアルビノではありませんでした。 差別的な言葉を投げかけられただけではなく、実際に暴力を振るわれることもあったアッシュ氏ですが、教会で牧師として活動しながら大学院で修士号を取得。その後、フランスに移住し、不動産業を中心に実業家として成功します。その後、アッシュ氏はアフリカ中部や南部で、偏見や迷信によって多くのアルビノの子供たちが命を落としている実態を知り、死者まで出しているアルビノに対する差別をなくす目的で非営利団体を設立して、現在も啓発活動を続けています。 アッシュ氏の活動が起点となって、国連によって「国際アルビ二ズム啓発デー」が制定されましたが、そこから1年がたった現在でもアルビノの人々に対する襲撃は後を絶ちません。世界規模で見た場合、地道な啓発活動を続けていくことが、差別や偏見を減少させていくことに繋がるでしょう。しかし、人々の間に存在する迷信がビジネスとなり、それによって多くのアルビノが殺害されているアフリカでは、政府や国際機関のより積極的な介入が求められています。 (ジャーナリスト・仲野博文)