少子化改善へ 総合対策「青森モデル」発表
宮下宗一郎知事は31日、1人の女性が生涯に産む子どもの数を示す「合計特殊出生率」の向上と人口の維持・増加に向けた青森県独自の総合的な対策「青森モデル」を発表した。今後5年間で集中的に、若者の定着や結婚・子育て支援など五つの分野で計74の取り組みを進める。将来的には2040年に合計特殊出生率2以上の達成と、転入者が転出者を上回る「転入超過」への反転を目指す。 青森県の23年の合計特殊出生率は1.23と過去最少を更新。転入率と転出率の差を表す「純移動率」は、15~20年までの15~49歳の純移動率が約マイナス0.04で若年層の県外流出が多く人口減少に歯止めがかかっていない。 こうした状況を打開しようと、青森モデルは▽若者や女性の定着・還流▽家庭と仕事の両立▽出会い・結婚▽妊娠・出産▽子育て環境-の5本柱で総合的に対策を取りまとめた。中間目標として、29年に合計特殊出生率を1.68に引き上げ、15~49歳の純移動率を現状よりも向上させることを掲げた。 新規21を含む74事業のうち▽子育て世代への情報発信▽小児科のオンライン診療を利用しやすい仕組みづくり▽県有施設の子ども料金無償化▽ベビーシッター制度拡充や保育士の処遇改善といった保育環境の充実-などについては、来年度予算に組み込めるよう検討中。また、本年度始めた不妊治療費の助成は、現行の体外受精などの「生殖補助医療」から、タイミング法や人工授精のような一般不妊治療にも対象の拡充を進める。県内小中学校の給食費無償化も継続する。 青森モデルの確立は宮下知事の公約。「こども未来県民会議」のメンバーをはじめとする県民との対話で得た意見を基に策定した。 青森市内で記者発表した宮下知事は「子どもへの投資が青森県の未来を開くという基本理念の下、若者や子育て中の人、子どもを生み育てたい人が、自身や子どもを取り巻く環境が良くなっていく青森県を思い描けるよう取り組みを進めたい」と強調し「合計特殊出生率と純移動率の向上によって子どもの数が増え、人口が中長期的に増加していくようなシナリオができればと考えている」と話した。