【ナゼ?】同僚女性のペットボトルに尿・唾液の混入は『微罪』!?被害者に強いトラウマも…専門家警鐘「厳罰化には法改正が必要」
■滋賀でも会社役員が尿を混入 大阪では「ルイボスティー」に
飲料への尿などの混入が発覚したのはこの事件だけではない。 奈良で大学生が逮捕された同じ日、滋賀県内では、職場で働く50代の女性が持参したペットボトルに異物を混入したとして、会社役員の男(57)が逮捕された。男は「私の尿を入れて飲めない状態にした」と話しているという。 2022年3月には大阪府内で「ルイボスティー」が入った女性の水筒に尿を混入したとして、同僚の30代の男が逮捕されている。 いずれも、逮捕容疑は飲料を飲めないようにした「器物損壊」で、被害者が事情を知らずに飲んでいることを裏付けられれた場合は「暴行」容疑がついている。 奈良県警の幹部は、大学生の逮捕について「特異な事例ということで、被害者の思いを重く受け止めて、やれる限りの捜査をした」と明かした。
■専門家「性的嗜好があっても『尿の混入=性犯罪』とは言い切れない」
ただ、「器物損壊罪」の法定刑は3年以下の懲役または30万円以下の罰金か科料で、「暴行罪」の場合は2年以下の懲役または30万円以下の罰金か拘留か科料だ。いずれも比較的軽い刑罰で、「不同意わいせつ」などの性犯罪のよりも罪は軽い。 性犯罪の刑事裁判に詳しい夏目麻央弁護士(大阪弁護士会)は「法改正により性犯罪を“厳罰化”する傾向にあるが、尿の混入などがいわゆる“マニアック”な性的嗜好でなされたとしても、個人的な恨みやいたずらで犯行に及んだ可能性もあり、混入の行為をもって“性犯罪”と捉えるのは難しい。たとえ被害者がPTSDを発症するほどの心の傷が残ったとしても、これをもって『生理的な機能を害した=傷害罪』で立件するのもハードルが高い」と指摘する。 仮に現行法の「器物損壊」などで立件しても、加害者が初犯で容疑を認め、反省の態度を示している場合、「起訴猶予=不起訴」として刑事罰が科されない可能性があり、たとえ起訴されたとしても、執行猶予がついた判決になる可能性が極めて高いという。 夏目弁護士は「示談交渉か民事裁判で損害賠償を求めることはできるが、賠償額は大きなものにはならない可能性がある。このような行為を犯罪として厳罰化するには、法改正をする必要がある」と話す。 いつ、誰が狙われてもおかしくない尿や唾液などの混入事件。被害を防ぐための議論が必要な時期に来ているのかもしれない。