「ホワイト案件」信じ込み闇バイトに…一見適法に見える勧誘文言を真に受けるのは相当危険【「表と裏」の法律知識】
【「表と裏」の法律知識】#254 最近、横浜市青葉区で75歳の男性が殺害され、現金が奪われるという悲しい事件が起こりました。この事件で、22歳の男性が強盗殺人の疑いで逮捕されました。彼は、SNSで見つけた「ホワイト案件」という言葉をきっかけに、この犯罪に関わってしまったようです。 【写真】4都県7件連続強盗 実行役とされる森田梨公哉容疑者「ルフィ事件」から多くを学んだ? 「税金を数十万円滞納していたため、短期間でお金を稼げる仕事を探していた」と話している彼は、SNSで「ホワイト案件」という投稿を見つけ、それに応募したところ、指示役とつながったようです。「ホワイト案件」と書いてあったことから、闇バイトなどの「ブラック案件」ではないと信じてしまい、秘匿性が高い通信アプリで個人情報を教えてしまったといいます。途中で、自分が犯罪に加わっていることに気づき、怖くなったといいますが、指示役に個人情報を握られていたため、「断ったら仕返しや家族に危害が加わるかもしれない」と考え、やめることができなかったと話しているそうです。 仮に「ホワイト案件」のような一見適法にみえる勧誘文言であっても、ネット上の文言を真に受け信じてしまうことは相当危険です。実際に犯罪に加担してしまったり、犯罪への関与から逃れようとしてリンチに遭ってしまう事案もあるようです。違法な活動に巻き込まれる可能性があります。今回の男性が関与した事件は、強盗殺人という無期懲役や死刑しかない極めて重い犯罪です。「ホワイト案件」を信じたと言っても通用しませんし、許されることではないのです。 インターネットやSNSを使った犯罪の勧誘は、従来の犯罪と違い、規制が十分に追いついていない面もあり、指示役側の反社会的勢力はなかなか捕まらないのが実情です。そして今日もまた新たな「被害者」が生まれているかもしれません。 「簡単に稼げる」という甘い言葉には、危険が潜んでいると思ってください。短期間で大金を稼げるという話には決して飛びつかず、自分や家族を守るためにも、むしろ甘い誘惑は避けることが必要でもあるのです。 (髙橋裕樹/弁護士)