戦時下の冤罪語り部来日へ 北大、スパイぬれぎぬ
太平洋戦争開戦時に米国人夫妻と交流があった北海道帝国大生宮沢弘幸さんが逮捕され、スパイ行為に問われ、実刑判決を受けた宮沢・レーン事件を巡り、宮沢さんらと幼少期に交流があったイタリア人作家のダーチャ・マライーニさん(87)が6月に来日し、札幌市内で講演する。渡航費用を募る市民団体は「外国人に旅の土産話をしただけで摘発された冤罪事件。戦争の恐ろしさを伝えたい」と訴えている。 ダーチャさんは、アイヌを研究する留学生として1938年に来日した父フォスコさんと共に札幌市に移住。宮沢さんとは、一緒に旅行や登山に行ったことがあり、妹のようにかわいがられたという。 宮沢さんは、交流のあった英語講師のハロルド・レーンさんと妻ポーリンさんに軍事秘密を漏らした罪に問われ、懲役刑を受けた。終戦後に釈放されたが、結核を患っており、47年に27歳で亡くなった。 当時広く知られていた飛行場の場所を外国人に告げたことがスパイ行為に問われており、戦後、弁護士や北海道大の関係者らが冤罪と位置付け、名誉回復運動を続けている。