霞ヶ浦の甲子園初勝利「誇りに思う」 前主将・新保玖和は仙台大で“動ける大型ショート”目指し奮闘中
仙台大は昨年まで、大学日本代表でも活躍し「世代ナンバーワン遊撃手」と称された辻本倫太郎内野手(現・中日ドラゴンズ)が遊撃を守っていた。2年生以上にも遊撃の定位置奪取を狙う内野手が多数いる中、今春はオープン戦からアピールしたルーキーの新保がその座を奪った。
1年春からリーグ戦全試合出場、全日本では“洗礼”も
最大の武器は落ち着いたグラブ捌きと軽快な足捌きを生かした堅守。「常に誰かをイメージして守っている」といい、高校時代は小園海斗内野手(広島東洋カープ)、体格やスタイルが変わった現在は宗山塁内野手(明治大)を主にイメージして守備についている。 今春のリーグ戦は全10試合に出場。うち9試合は遊撃でスタメン出場し無失策と守備力の高さを発揮したものの、本人は「リーグ戦でノーエラーでも、大舞台でエラーしてしまっていてはまだまだダメ」と口にする。 「大舞台」とは全日本大学野球選手権のこと。初戦の星槎道都大戦、初めて立った東京ドームのグラウンドで2失策を喫した。「緊張しすぎて普段の自分のプレーができなかった」。リーグ戦の結果に満足せず、大舞台での反省を糧に日々長所を伸ばしている。
打撃面でもタイミングの取り方を工夫したり、速球対策をしたりして徐々に大学生投手に対応してきている。リーグ戦は打率.240(25打数6安打)ながら、全日本では2試合ともマルチ安打を記録し7打数4安打と躍動。その後の新人戦も2試合で7打数5安打と打ちまくった。 新保が「先輩たちのおかげで自分の思うままに、気軽にプレーできている」と話すように、下級生だからと臆することなく、グラウンドやベンチで自分以外のプレーに対しても喜んだり、悔しがったりと感情を爆発させられるのも強みの一つ。そのプレースタイルを貫くのは、個ではなくチームで戦うことの大切さを知っているからこそだ。
ライバルであり憧れの兄二人を超えてプロ野球選手に
5歳上と2歳上に兄がおり、兄二人は瀬戸内(広島)から大学に進んで野球を続けた。5歳上の兄は競技を退き、2歳上の兄・茉良(まお)はライバル校である東北福祉大でプレーしている。 兄弟3人そろってメインポジションは遊撃。3人とも、幼少期から父に守備の極意を教わった。中学生の頃までは「お兄ちゃんにはかなわない」と遠い存在に感じていたが、高校生になって実力を伸ばしてからは「お兄ちゃんには負けられない。憧れですけど、超えてプロ野球選手になって、同じ土俵ではなく一つ上のランクで野球をしたい」とライバル心を燃やすようになった。
大卒でのプロ入りを見据え、「まずは体を大きくして、動ける大型ショートを目指して頑張る」と新保。母校の後輩たちから刺激を受けた夏を越え、秋は攻守にわたってさらに進化した姿を見せてくれるはずだ。
(取材・文・写真 川浪康太郎)