恐ろしくも美しい最速のハンター、飛んでいる獲物を時速300キロ超えで急降下して捕獲する
南極大陸を除くすべての大陸に生息、鷹匠も愛好するハヤブサ
ハヤブサは、飛行しているほかの鳥やコウモリを餌食にする。獲物を見つけると、時速320キロを超える速さで急降下して捕獲する恐ろしくも美しい最速の鳥だ。 【動画】ハヤブサに付けたカメラの空中映像 ハヤブサは世界で最も良く知られた猛禽類であり、南極大陸を除くすべての大陸に生息している。広く開けた空間を好み、海岸に生息する鳥がたくさんいる沿岸側に生息することが多いが、ツンドラから砂漠までどこでも見ることができ、大都市の橋や高層ビルにすむことさえある。 この鳥は巣作りの季節以外では広く移動する。英語で「Peregrine Falcon」というが、これは「放浪者」という意味を持つ。定着するものもいるが、多くは移動する。北極圏のツンドラに巣を持つハヤブサは南米で越冬し、1年におよそ2万5000キロも飛行する。しかし、非常に強い帰巣本能を持っており、お気に入りの高所の巣へ戻る。何世代にもわたり、数百年使われ続ける巣もある。 ハヤブサは20世紀半ばに急速に減り、米国ではこの美しい鳥は絶滅危惧種となった。DDTなどの化学農薬の使用が制限されるようになってから、たくましく復活した。繁殖プログラムによって、米国とカナダにおいてはこの種を増やすことにも成功している。現在では、この両国と世界の数カ所で生息数が増え、実数としては20世紀に減る前よりもの増えている。 鷹匠はハヤブサを愛好しており、何世紀にもわたって狩りで利用している。
ナショナル ジオグラフィック 日本版編集部