便潜血検査が陰性なら大腸カメラの必要はない? 検便で引っかかる原因と対応を医師が解説
いわゆる「検便」で引っかかる原因にはどんなものがあり、引っかかった場合どうしたら良いのでしょうか? 検便で引っかかる原因と対応について、消化器内科医の佐々木大樹先生(佐々木医院院長)にMedical DOC編集部が話を聞きました。 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
検便で引っかかる原因は何が考えられる? どんな細菌・ウイルスが見つかるの? 切れ痔や生理中の場合は?
編集部: 健康診断のいわゆる「検便」で引っかかるのは、どんな理由がありますか? 佐々木先生: 一般的な健康診断での「検便」は「便潜血検査」という検査のことです。こちらで引っかかるのは、便に血液が混じっていた場合です。血液が混ざっていると「陽性」や「要精密検査」という結果が出ます。また、食品取扱い従事者に行われる「検便」は「腸内細菌検査」と呼ばれるもので、便に特定の細菌やウイルス、ぎょう虫などがいないかを調べます。 編集部: まず、どうして便に血が混ざるのですか? 佐々木先生: 血が混ざる場合は胃や腸、肛門などに何らかの問題があることが考えられます。切れ痔など、肛門に近い病気ほど、血液が赤く、逆に肛門から離れたところの病気だと血液は赤黒くなります。 編集部: 「腸内細菌検査」では、どんな細菌やウイルスが見つかるのですか? 佐々木先生: 例えば赤痢菌やチフス菌、腸管出血性大腸菌、コレラ菌、ノロウイルスやロタウイルスなどの有無がわかります。 編集部: 検便は生理中には避ける方がよさそうですね。 佐々木先生: 受けられないことはないですが、生理中は血液が混入する可能性が高いため、避けていただいた方が確実です。
検便で引っかかったらどうすればいい? 便潜血検査が陽性ならすぐ大腸カメラを受けるべき?
編集部: 健康診断で検便に引っかかったらどうすればいいですか? 佐々木先生: なるべく早く消化器内科に行き、検査を受けましょう。統計的には、健康診断で検便に引っかかっても、9割以上の方は精密検査で「異常なし」になることが多いですが、まれに大腸がんなどが見つかる場合もありますので、大腸カメラで検査してもらいましょう。 編集部: 大腸カメラはどんな検査ですか? 佐々木先生: 大腸カメラは「大腸内視鏡検査」と呼ばれる検査で、肛門からカメラを入れて大腸全体(約80cm)を観察する検査です。検査中にポリープやがんを疑う病変が見つかった場合には、組織を一部採取したり、ポリープの切除を行ったりすることも可能です。 編集部: 検便で引っかかる原因は、大腸がんの可能性もあるということなのですね。 佐々木先生: はい。早期の大腸がんは自覚症状がほとんどなく、また、仮に血便が出たとしても、初期の場合は量も少ないため、気が付かない方も多いのです。目で見てわかるほどの血便が出てからではかなり遅い可能性があるため、検便で引っかかったら、まずは一度、精密検査を受けましょう。