子どもが中学から私立に通うので祖父母から資金援助してもらいます。税金を払わなくて済む方法はありますか?
子どもを私立中学校に入れると、公立中学校と比べて多額の教育費がかかるのが一般的です。祖父母から資金援助を受ける場合に、税金などで目減りすることなく全額を有効活用するには、贈与税の仕組みや教育資金の贈与に関する制度を知っておく必要があります。 本記事では、祖父母からの教育資金の援助が非課税になる金額の上限や贈与の方法について、分かりやすくまとめました。 ▼子ども名義の口座に「月3万円」ずつ入金してるけど、将来口座を渡すときに「贈与税」はかかるの? 非課税にすることは可能?
年間110万円までの援助は内容を問わず贈与税が非課税
贈与税には、年間110万円の基礎控除額が設定されています。そのため、どのような場合でも、1月1日から12月31日の1年間に受けた贈与の金額が110万円を超えなければ贈与税はかかりません。 110万円の基礎控除は、贈与を受けた金品の用途や課税方式を問わず適用されます。祖父母からの教育資金の援助額が年間110万円以下の場合は、税金のことを気にせずに受け取ってかまいません。
必要なときに必要な金額だけ受け取れば、祖父母からの教育費援助に対して贈与税はかからない
祖父母から1年間に110万円を超える教育資金の援助を受けても、お金の受け取り方によっては贈与税がかかりません。 国税庁が示す贈与税がかからない財産の条件の一つに「夫婦や親子、兄弟姉妹などの扶養義務者から生活費や教育費に充てるために取得した財産で、通常必要と認められるもの」があります。ここでの教育費に含まれるのは、学費や教材費、文具費などです。 ただし、単に教育費として受け取れば贈与税がかからないのではありません。教育費としてお金が必要になるたびに、必要な支払いに直接充てるための資金として渡されたお金(都度贈与)だけが非課税となります。 つまり、教育費としてあらかじめまとまったお金を受け取るのではなく、教育費の支払いが発生するたびに必要な金額だけを祖父母に負担してもらうのであれば、贈与税はかからないのです。受け取ったお金の使い道を明確に示せるように、領収書をとっておくなどの対策を採るとよいでしょう。
祖父母からの教育資金の一括援助が1500万円まで非課税になる「教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置」とは
祖父母からあらかじめまとまった教育資金の贈与を非課税で受けられる制度が「教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置」です。この制度を利用すると、父母や祖父母などの直系尊属から30歳未満の子や孫への教育資金の贈与が、最大1500万円まで非課税となります。また、贈与額のうち500万円までは、塾や習い事の費用として使えます。 ■制度を利用する条件 教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置を利用できるのは、受贈者が0~29歳で前年の所得が1000万円以下の場合です。また、受贈者が23歳以上になると、習い事などに使える500万円の枠はなくなります(教育訓練給付金の支給対象となる教育訓練を受講するための費用に限られます)。 また、本制度を利用して教育資金を非課税で贈与するには、金融機関と教育資金口座に係る契約を締結して資金管理の専用口座を開設しなければなりません。受贈者が資金を引き出す際は、領収書等の提出が必要です。 ■制度を利用するときの注意点 教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置は、期間限定の制度です。2024年2月時点では、2026年3月末での終了が予定されています。 また、受贈者が資格を失うなどして教育資金口座に係る契約が終了した場合は、口座の残額が贈与税の課税対象となることに注意が必要です。贈与者が途中で亡くなった場合は、口座の残額は相続税の課税対象になります(原則として受贈者が23歳未満の場合を除く)。 都度贈与と比べて手続きが複雑になることや、最終的に税金が発生するケースがあることを踏まえて、制度を利用するかどうかを慎重に検討しましょう。