共通巡礼の「大使」委嘱 和歌山県田辺市とスペイン、観光交流10周年記念
世界遺産の「熊野古道」と「サンティアゴ巡礼道」(スペイン)の両方を歩く「共通巡礼」の魅力を発信してもらおうと、和歌山県の田辺市熊野ツーリズムビューローは23日、共通巡礼の達成者や両巡礼道に関わりのある1団体と3人に「共通巡礼アンバサダー」を委嘱した。 【金色のホタテ貝贈呈 本宮大社が共通巡礼達成者に、和歌山県田辺市の記事はこちら】 田辺市とスペイン・ガリシア州サンティアゴ・デ・コンポステーラ市の観光交流協定締結10周年を記念した企画。両巡礼道を歩き、魅力を発信している「熊野古道女子部」、田辺市出身の画家で今年スペインで個展を開いた赤木睦代さん、低山トラベラーの大内征さん、英語で両巡礼道の旅をサポートするSNSグループページを運営するヘザー・ナイトさんがアンバサダーに就任した。 両市ともに千年以上の歴史を持つ世界遺産の巡礼道がある。2015年から共通巡礼手帳を発行し、両方を踏破した「二つの道の巡礼者」を登録している。登録は8月末までに68カ国7237人。今年だけで1586人いる。 23日、田辺市本宮町の世界遺産熊野本宮館でアンバサダーの就任式があった。式典に出席した熊野古道女子部事務局の高森玲子さんは「海外で熊野古道の認知度は高まっている。共通巡礼はもちろん、聖地熊野の歴史文化を広めていきたい」、赤木さんも「日本とスペインの架け橋として、文化交流に努めたい」と決意を述べた。 記念トークセッションでは真砂充敏市長と熊野本宮大社の九鬼家隆宮司が加わり、二つの巡礼道のこれからなどについて語り合った。 ヘザー・ナイトさんは米国在住だが、式典のために駆け付けた。「二つの巡礼道を歩き終えた時は、すごい達成感があった。自分自身と向き合い、学ぶことができた」と振り返り、「外国人が古道の文化的意義を理解してから訪れられるよう最善を尽くしたい」と思いを述べた。 真砂市長は「熊野もスペインも巡礼の本質は変わらないと感じる。本来歩くのは目的地を目指すための手段だが、歩くこと自体も目的になる。今後、古道をどう保全していくか。どんな目的で歩くかを明確にして議論したい」と話した。
紀伊民報