【山脇明子のLA通信】ニックス吉本泰輔ACが語るエグジビット10契約で大切なこと…「自分のプレーをする」
名門ニックスの復活にも尽力
NBAニューヨーク・ニックスにおいて、名将トム・シボドーヘッドコーチ(以降HC)の下でアシスタントコーチを務める吉本泰輔氏が、7月にラスベガスで行われたサマーリーグで4年連続チームのHCを任された。 「今も試行錯誤の繰り返しです。毎日、新たな学びがあります。今年は私にとって(サマーリーグのHC)4年目ですが、これからもどんどん土台を築いていきたい」と吉本氏。「選手それぞれの長所短所を理解し、チームの強みといくつかの弱みがある中で戦略を立てていかなければなりません。もちろん、今は(以前に比べると)練習の組み立てをしたり、チームを管理したりすることに慣れてきましたし、自信もついています。でももっと成長していきたいです」と意欲に満ち溢れた表情を見せた。 3勝2敗と勝ち越しで終えたサマーリーグ。最初の4戦は、どれも最後は接戦だった。初戦は残り11秒で2点差、2戦目は残り1分で3点差の試合を落とし、3戦目で1点差勝ちした。この試合では、2点を追う第4クオーター残り2.4秒、ドラフト2巡目指名のタイラー・コーレックがドライビング・レイアップを成功。これがアンドワンとなってフリースローを決め、ニックスが逆転勝ちした。 自らが指示した作戦が見事にうまくいった。「安堵しました。チームに勝つチャンスを与えることが、私にとって最も重要なことですから。最後の場面では、指示したことを選手たちが実にうまくやり遂げてくれました」。 次の試合も1点リードを守り切り2連勝。その試合前のミーティングで、チームに前戦のクリップを見せたという。 「選手たちに伝えたことは、あのプレーで私が最もうれしかったことは、(コーレックによるタフな)ショットが決まったことではなく、ベンチにいた誰もが立ち上がって、床に倒れていた彼を助けようとしたことだということです。あれが、あのプレーの醍醐味でした。作戦が描いたとおりに成功を成すことはとてもうれしいことですが、選手たちのああいった行動により、より高いレベルであのプレーが実現しました」と、チーム全員で戦えたことに満足感を示した。 吉本氏がサマーリーグを迎えるチームに与えたテーマは、「個」ではなく「集」であり、「チームとして成長していくこと」だったという。チームの中心になるのは、どうしてもロスター入りしている選手やドラフト指名された選手になり、吉本氏も「(出場時間が与えられない)何人かの選手にとっては、とてもハードなこと」と言う。それでも「彼らはチームの一員として、素晴らしいチームメイトでい続け、自分の行動に責任を持ち、お互いに助け合える存在でいてくれています」と誇らしげに語った。 「彼らには常に準備し、練習を続けるように言っています。いつチャンスが訪れるかわかりません。時に故障が起きることもあるし、何だって起こりえます。(サマーリーグは)彼らにとって素晴らしい機会です。30チーム(のスカウトたち)が彼らを見ているのですから。そして、ときに、素晴らしいチームメートであることが、大きな意味をもつこともあります」。 確信を持って、そう語った。