他人の失敗を期待してしまう──自分の性格が悪すぎると嘆く41歳に贈った肯定的な言葉とは?
自信喪失した人たちの悩みに肯定的な言葉で答える
悩んでいるときや心が疲弊しているとき、他人からの言葉に救われた経験はありますか? 筆者はこれまでの人生で何度かありましたが、今でも鮮明に覚えているのが会社の先輩からかけてもらった一言です。当時の筆者は入社3年目で、自分の業務と新人の指導がうまく両立できずに半ばパニック状態に陥ってしまい、作業も人間関係もすべてが空回りしていました。 そんなある日、仕事の遅れを取り戻すべく残業にいそしんでいる筆者に1本の缶コーヒーを買ってきてくれたのがその先輩でした。代金を払おうとすると「いらない」と断られ、続けて「がんばってるから」とさりげない言葉をかけてくれたのですが、不思議なことにその一言で荒廃しきった心が一気に潤いを取り戻しました。 そのときに感じた自己肯定感や安堵感を思い出させてくれたのが、コミュニケーションコンサルタントとして活躍するひきたよしあきさんの著書『あなたを全力で肯定する言葉』です。本書では、さまざまな理由で自信を失った相談者に対し、ひきたさんが相手を肯定するかたちで答えてくれるのですが、根拠のある言葉が紡がれていて説得力がしっかりとありました。 さらに、その優しい語り口もすばらしく、筆者自身は控えめなトーンで語りかけてくる深夜のラジオ番組のような心地よさを感じました。 そんな魅力を持つ本書の一部を、ここでご紹介したいと思います。
本当に「性格が悪い」人は、自分の性根の悪さに気づいていない!?
<お悩み相談>自分、性格悪すぎです。 人の失敗を期待してしまいます。人の成功や、ほめられている人に共感できません。いいことをしている人がいると「余計なことをするな!」と思います。性格がいい人がいると、自分が性格悪いみたいで迷惑です。 いくらなんでも性格悪すぎますよね? ─ 犬っち(41歳) <ひきたさんの回答> 私の経験では、自分のことを「性格が悪い」と思っている人は、さほど性格が悪くはありません。客観的に自分を見る目が備わっているのです。 本当に「性格が悪い」人は、自分の性根の悪さに気づいていません。無自覚だから、恐ろしく深いところまで人を傷つけてしまう。これは始末が悪いです。 また、「私は有能だ」「私の考えが正当だ」と自己肯定感の高い人は、自己評価とは裏腹に、人から「性格が悪い」と思われがちです。わがままで、マウントをとってきますからね。しかも「それが、あなたのためだ」というような顔をして。 自分で「性格が悪い」と思っている人は、内面でこう思うだけで、ゴリ押しや心ない発言で人を傷つけることがありません。多分、あなたもそうだと思います。 心の中は、意地悪や嫉妬などのドロドロした感情でいっぱいだけど、人前では結構いい顔をしている。表面上は、相手の成功を喜んだりもする。そのギャップに悩むこともあるでしょう。でも、他人からはまだ「犬っちって、性格悪いよね」なんて言われてないのではないでしょうか。 それはあなたに自己分析する力があって、行動を抑制できるからです。これは救いです。自分の気持ちのもち方を、変えていけばいいだけだからね。