【喘息】勝手に治療を辞めるのは危険!? 「喫煙者と同じ肺レベル」になることも…医師解説
喘息・気管支喘息になる原因は風邪やストレスも? 喘息治療後も気をつけたい発作が起こるきっかけなど
編集部: 喘息の症状が出ず、治療を一旦中断している時に気をつけなければならないことは何でしょうか? 柿沼先生: ストレスの蓄積や体重増加などによって喘息が悪化し、再び症状が出ることがあります。十分な睡眠をとり、ストレスを溜めない生活を心がけるとともに、体重維持にも気をつけましょう。 編集部: ほかに気をつけるべきことはありますか? 柿沼先生: 喘息がある人は喫煙が厳禁であり、受動喫煙も自分がタバコを吸うのと同じくらいの害があるので気をつけましょう。そのほか、風邪、インフルエンザ、肺炎などの呼吸器感染症は、喘息を悪化させる誘因になるので注意してください。 編集部: 受動喫煙にも注意が必要なのですね。 柿沼先生: はい。たとえ自宅ではタバコを吸っていなくても洋服にタバコの煙や成分が付き、それが原因で子どもが喘息を発症することがあるのです。喘息治療のため、確実に禁煙するようにしましょう。 編集部: 季節・気候などで気を付けるべきこともありますか? 柿沼先生: 気圧や気温の変化が激しい時期や花粉の時期、黄砂が飛ぶ時期は、喘息の症状が悪化することがあります。喘息は変動性が高い気道疾患であることを理解し、そうした時期は気を引き締めて治療に臨んでほしいと思います。 編集部: 最後に、読者へのメッセージをお願いします。 柿沼先生: 以前に比べて減少しているものの、現在でも喘息で亡くなる人がいます。人によっては放置すると将来、肺の機能が喫煙者と同レベルにまで低下して、健康を害するリスクがあります。そうした危険性があることを理解したうえで、しっかり治療を継続することが必要です。症状が出ないからといって油断することなく、慢性疾患であることを理解し、継続して治療に取り組んでください。不安なことがあれば、かかりつけ医まで相談しましょう。
編集部まとめ
高血圧や糖尿病の患者が生涯にわたって生活習慣に気をつけて投薬を続けるのと同じように、喘息も慢性疾患であるため長期的な視点で治療に取り組むことが必要です。自己判断で治療を中断するとかえって悪化することもあるようですね。医師の指示に従い、治療を継続するようにしましょう。
【この記事の監修医師】
柿沼 一隆 先生(浦賀メディカルクリニック) 聖マリアンナ医科大学医学部医学科卒業。同大学病院研修医、同大学呼吸器内科診療助手、同大学内科(呼吸器)診療助手、同大学院博士課程修了、同大学呼吸器内科助教、独立行政法人国立病院機構静岡医療センター 呼吸器内科医長、聖マリアンナ医科大学呼吸器内科出向講師を経て現職。日本内科学会、日本呼吸器学会、日本肺癌学会、日本呼吸器内視鏡学会、日本アレルギー学会に所属。