<参院選>「成人年齢18歳に引き下げ」どうなった?
今回の参院選では、憲法改正手続きを定めた96条の改正などが争点になっていますが、改憲に関連して、成人年齢や選挙権の年齢を18歳に引き下げるべきかどうかの議論がたなざらしになっています。2007年に成立した国民投票法では、改憲に必要な国民投票の投票権を「18歳以上」と認めていますが、いまだに法制上の措置が取られていません。どういうことでしょうか。 国民投票法の成立を受けて2008年、成人の年齢を引き下げるかどうかを議論する法制審議会の「民法成年年齢部会」が立ち上がりました。2009年には、成人年齢を18歳に引き下げるのが適当という判断を下したものの、実施時期は国会の判断に委ねられています。
国民投票の年齢引き下げを先行
今年6月7日に行われた衆議院憲法審査会では、自民・民主・維新の3党が国民投票の投票年齢にとどめ、成人年齢や選挙権年齢の見直しを行わないように主張しています。自民党は特に改憲を急ぐため、成人年齢や選挙権の年齢変更にさきがけて18歳以上が国民投票できるように、と考えています。みんなの党は、国民投票年齢と選挙権年齢の引き下げを主張しています。共産党は、改憲反対の立場をとるため、国民投票法自体の廃止を訴えています。 そもそも「成人」とは何でしょうか。成人になる年齢を下げることで、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。 成人になることで、自由に財産を購入したり、親の同意なしで結婚したりすることができます。これらは民法で定められています。民法以外では、選挙で投票したり、お酒を飲んだり、競馬で馬券を購入することができます。一方、少年法の保護から外れ成人としての刑事責任が問われ、契約が自由になるため悪徳商法の被害にも狙われやすくなる、という問題があります。
140カ国余りで「成人年齢18歳」
国連人権高等弁務官事務所の調べによると、成人年齢が18歳(それ以下も含む)になっているのは141カ国・地域あります。国立国会図書館の調べによると、選挙権が18歳(同)になっているのは170カ国・地域あります。 日本では、高校卒業年齢である18歳から自動車の普通免許が取得でき、児童福祉法では18歳未満が保護の対象とされ、労働基準法でも「年少者」とされます。民法の成人規定は、このあたりともずれがあるといえます。