湖東記念病院事件・国賠訴訟 取り調べた警察官 自白誘導「一切ありません」
患者の死亡をめぐり、再審無罪となった元看護助手の女性が国と県に国家賠償を求めている裁判。大津地裁では23日、当時取り調べを行った警察官が証人として立ち、自白の誘導については、「一切ありません」と否定しました。
午前9時半、西山美香さんは弁護団とともに、裁判所に入りました。元看護助手の西山美香さん(44)は、東近江市の湖東記念病院で入院患者を殺害したとして、懲役12年の刑を受け、服役した後、2020年、やり直しの裁判=再審で無罪が確定しました。西山さんは、国や県を相手取って違法な捜査で殺人犯の汚名を着せられたとして、国家賠償を求める訴えを起こし、慰謝料など約4300万円を請求しています。
23日大津地裁では、傍聴席の抽選券を求める列ができていました。そして、午前10時に開廷した裁判では、当時、西山さんの取り調べをした男性警察官が証人尋問に立ちました。2020年の無罪判決では、西山さんのうその自白は、警察官への恋愛感情や知的障害の特性を利用した不当・不適切な捜査手法で引き出されたとされていますが、この日の証人尋問で警察官は、県側からの質問に対し、取り調べの際に自白を誘導したことについては「一切ありません」と否定しました。
また、体の接触があったかという問いに対しては、西山さんから手を触るなどの行為はあったが、注意し払いのけるなど恋愛感情はなかったと主張しました。一方、西山さんは、「俺がお前の不安を取り除くと言ったのではないか」と質問。これに対し警察官は、「改心させるために言った」と話しました。また「いすをけったり机を叩いたりしていないか?」という質問には、「一切していない」と否定しました。なお次回の国賠訴訟は、今月30日に、この警察官の上司が証人に立つ予定です。