「約束より給料が3万少ない!」「試用期間を延長されて…」就職・転職時に注意、労働契約トラブルを弁護士が解説
■よくある「試用期間」トラブル、正社員になれないまま…1年以上経過の事例も
――事前提示の給料と違うと会社に言うと、「最初は試用期間だから」と少ない額を払われたといった例も見ます。 「それもよくあるトラブルです。試用期間があるのは聞いていたけれど、入社した後に、“試用期間中は時給”と言われ、生活が苦しくなってしまった事例も。入社前に細かいことを聞くのは気が引けるかもしれませんが、後のトラブル防止のために、試用期間も給料は変わらないかなど、確認しておいた方がよいですね。ほかにも、試用期間が終わるころに、 “まだ判断できないから、あと3ヵ月間契約社員として様子を見たい”と言われて契約を結びなおしてしまい、その後も正社員になれないまま契約が更新されて、1年以上契約社員のままだったという方もいます」 ――そんな状態で束縛されていると再就職活動もままならないですね。 「試用期間の延長や契約社員への切替といった話は、実はよくあります。そうした場合も、やはり契約書にサインしてしまう前に、労働基準監督署や弁護士などに相談してほしいです。契約書をよく見ていなかったとか、すぐに提出するように言われて中身も見ずに契約書にサインしたという事情があったとしても、やはり契約書にサインしてしまうと“書かれていることに納得していた”と見られてしまい、争えなくなることがあります」 ■おかしいと思ったら? 弁護士が勧める注意点や相談方法 ――恐ろしいですね。会社にペナルティがないとやりたい放題されてしまうのではないかと怖くなります。 「罰則というところまでいかなくても、労働基準監督署は、法律違反について、必要な指導・助言をしたり、雇主に報告を求めたりすることが可能ですので、これはおかしいのではないかと思ったら、一度お近くの相談窓口へ相談してみてください」 ――やはり書面をきちんと確認することが本当に重要になりますね。 「おかしいと思ったらその場でサインをしてはいけません。“この場ですぐにサインをしなさい”というのは“怪しい”です。これは退職の時も同じで、契約書をよく見ると、“同業他社では働きません”と書いてあったりします。内容によっては争うこともできるのですが、そもそも納得できない書類にはサインしないのが一番。きちんとチェックして、その場で説明や修正を求めたり、それが難しければ、『大事な書類なので、一旦持ち帰って確認させてください』と伝えましょう」 ──こうしたことに関する法改正は? 「今年の4月から労働条件明示の範囲が少し広がり、就業場所や業務に関する事項も書かなければならなくなったので、より確認しやすくなりました。 大きな企業でも訴えられたり、SNSで炎上する事例もあり、雇主側のリテラシーは上がってきているのではないかと思います。労働者側も自分の権利を知り、おかしいと思ったら動く、ということが大切です」 <プロフィール> 島田さくら 弁護士、アディーレ法律事務所所属。 『情報ライブ ミヤネ屋』(日本テレビ系)、『朝生ワイド す・またん!』(読売テレビ)など、メディア出演多数。 (文:衣輪晋一)