陸上・桐生祥秀、一瞬”パパの顔” 幼稚園児の息子に「しっかり走ったよと伝えたい」100メートルでの五輪切符厳しくなったが…下向かない
◇30日 陸上 日本選手権最終日(新潟・デンカビッグスワンスタジアム) パリ五輪代表選考会を兼ねて行われ、男子100メートルで決勝に進んだ元日本記録保持者で2021年東京五輪男子400メートルリレー代表の桐生祥秀(28)=日本生命=は10秒26で5位に終わった。16年リオデジャネイロ五輪以来となる男子100メートルでのパリ五輪代表入りは厳しくなった。 戦いを終えた桐生が一瞬、父親に戻った。「1番になる」という幼稚園児の長男との約束は果たせなかったが、「パパはしっかり走ったよと笑顔で伝えたい」。長男は29日にあった運動会でフライングし、最後は転倒してしまったという。そんなこともあってか、桐生は「息子にはどんどんつまずいてほしい。つまずかないと、次の一歩が大きく踏み出せない」と言った。 桐生自身、右アキレス腱(けん)痛を抱えて出場した東京五輪からここまでの3年間は「うまくいくことはあまりなかった」。けがや体調不良もあり、ようやく万全の状態で臨めたのが今大会だった。それでも決勝は見せ場をつくることはできずに終わった。 ただ、桐生は”つまずく”こともエネルギーになると信じているから、下を向かない。長男にはこうも伝えるつもりだ。「負けたよ、そのかわり次、しっかり走るよ」。まだまだ速くなることを諦めていない。
中日スポーツ