【高校サッカー選手権】「堅守強攻」成し遂げた藤井学園寒川!インハイ出場校の尽誠学園下し、悲願の選手権初出場達成!
10月5日に三本松・高瀬合同チームを含む36校35チームが集い開幕を迎えた「第103回全国高校サッカー選手権大会香川県大会」は11月9日、ついに頂上決戦へ。香川県高松市の香川県立総合運動公園サッカー・ラグビー場での対戦カードは、尽誠学園と藤井学園寒川とのカードとなった。 【フォトギャラリー】尽誠学園 vs 藤井学園寒川 尽誠学園は3大会ぶり3度目の出場でインターハイでは初戦敗退も優勝した昌平(埼玉)に1-2と健闘。確かな自信を手に準決勝では昨年代表・四国プリンス現在4位の大手前高松を2-2延長・PK戦で破り2004年第83回大会以来、20年ぶり2度目の選手権出場へ王手をかけた状態。 対して藤井学園寒川は今年初参戦となった四国プリンスでは途中5連敗も残り3試合で7勝2分6敗・10チーム中5位と奮闘。早くも来季残留を決めた経験値を糧に、準決勝では同じ四国プリンス組の四国学院大学香川西に2-0と快勝するなど、悲願の選手権初出場へ順調に歩みを進めてきた。 両校はすでに今季2度公式戦で対戦。1月の県新人戦2回戦では藤井学園寒川が尽誠学園を2-0で破るも、インターハイをかけた香川県総体3回戦では延長戦にもつれこむ激闘の末、3-2で尽誠学園が藤井学園寒川を下している。よって最終決戦とも言えるこの試合、秋晴れの空の下で両校応援スタンドのテンションも最高潮に達する中、セレクトされたスターティングイレブンは以下の通り。 まずスタートシステム4-4-2の尽誠学園は、GKは1冨家巧充(3年)。4バックは右から2三谷隆之介(2年)、4稲田侃太(3年)、3毛利泰賀(2年)、キャプテンの10古家大輝(3年)。中盤はダブルボランチに8稲田尚央(1年)と7東川一輝(3年)が入り、右サイドに11上野山碧人(3年)、左サイドに9山口悠大(3年)、2トップは22石川碧貴(2年)と23石田未来翔(2年)が組んだ。 対してスタートシステム4-2-3-1の藤井学園寒川は、GKが1谷山英悟(3年)、4バックは右から3稲谷優人(2年)、9廣畑寛太(3年)、4内野悠太郎(3年)、6野尻佑磨(3年)。中盤はダブルボランチに5寒川絢斗(3年)と8高城七斗(3年)が入り、右サイドが11田北海翔(3年)、左サイドが14三笠大地(3年)。トップ下にはキャプテンの7伊藤瑛規(3年)。ワントップは11冨澤快斗(3年)となった。 試合の前半は両校ともに過大なリスクを背負わない40分となった。その中で尽誠学園はサイドMFとFWのポジションを適宜入れ替えながら相手サイドバック裏のスペースに入り込み、そこから精度の高い10古家の左足セットプレーなどでゴールを狙うと、対する藤井学園寒川も両足のキックと「導線を作る」ドリブルを併せ持つ7伊藤を経由したパスワークや、3稲谷のロングスローなどで対抗したが、両校守備網の堅さで得点は生まれず。 しかし、前半の終盤になると藤井学園寒川が過去、2014・2022年の2度に渡り全日本U-18フットサル選手権大会ベスト4入りした実績も持つ足下のテクニックと「堅守強攻」をチームスローガンに掲げるスピードに乗ったカウンターで主導権を握る展開に。33、34分の決定機こそ逃し前半はスコアレスで折り返したが、後半に入り迎えた43分、自陣から7伊藤が蹴ったFKのこぼれ球を受けた3稲田の折り返しを抜け目なく待っていたのは「FKの時点で裏のスペースを狙っていた」11田北。フリーの状態で放った右足スライディングシュートがネットを揺らし、先制点は藤井学園寒川に生まれた。が、尽誠学園もビハインドを覆す準備は十分だった。50分にDF5湊斐可琉(3年)を投入し、10古家をボランチに入れる3-5-2にフォーメーションをチェンジすると、60分過ぎからは右からは5湊、左からは23石田がロングスローを入れるパワープレー。62分には23石田のシュートがバー、71分には22石川のシュートが左ポストを叩くなど終盤の猛攻は見事の一語であった。 それでも「四国プリンスの経験を通じ、選手たちで課題を出し合えるようになった」(キャプテン伊藤)藤井学園寒川は、最後の一線は許さず。結局、虎の子の1点を守り切った藤井学園寒川は、創部40年目にして初となる悲願の選手権出場を香川県大会3試合クリーンシートで成し遂げた。 試合後、喜びを爆発させる選手たちとスタンドを観ながら「いい景色ですね」と目を細めたのは就任15年目を迎える藤井学園寒川・岡田 勝監督。近年は四国内で隠れた強豪であり続けながら、11人制での全国大会出場がどうしてもつかめなかった彼らは、ついに壁を破った勢いと「新チーム立ち上げ時にチームで日本一を掲げた」高い志を実現させる強い意思で、選手権初出場初優勝を本気で狙っていく。 (文・写真=編集部)