「棋士は話し上手が多い」「ファンとの 距離が近い」将棋を“推す”きっかけは 「アメトーーク!」の将棋回だった
ファンとプロ棋士の距離が近いのも魅力
――そもそも、さくらはな。さんが(以下さくらさん)将棋を始めたきっかけは何だったのでしょう。 さくら 2013年に人気トークバラエティ番組の「アメトーーク!」で将棋がテーマになり、棋士の佐藤紳哉七段が紹介されたことなんです。かつらをかぶって登場し、これから対局する相手について「豊島? 強いよね。序盤中盤終盤、スキが無いよね」などと言って笑わせた将棋ファンの間では伝説のインタビューの映像が出てきて「なんて面白い人なんだ」と棋士と将棋そのものに興味を持ちました。 さっそく、ネットで将棋のルールを調べて覚え、オンライン上でハムスターのキャラクターと対戦できるサイトや、将棋ウォーズで将棋を指してみました。将棋ウォーズは30級からスタートして同じ級や上の級の人にある程度勝っていくと級が上がります(※級は数が少ないほうが上。1級の上には初段があって、段は数が大きいほうが強い。五段より上はごく少数)。将棋の戦法をYouTubeで見て学んだり、強くなる方法を調べたり、独学で4級まで上がったのですが、どうしても3級になれませんでした。 調べるうちにプロ棋士に教えてもらえる教室があることが分かり、戸辺誠七段の教室に入会しました。習い始めたらすぐに3級に上がることができたんです。 ――戸辺七段というとABEMA将棋チャンネルの解説にもよく登場する人気棋士ですね。そんな棋士が直接教えてくれる教室があるのはいいですね。 さくら そうなんです。将棋界の魅力の1つが棋士とファンの距離が近いこと。将棋盤を挟んで目の前に棋士が座って教えてくれます。もちろん生徒との実力差はすごく大きいので、「駒落ち」という方法で対局して教えてもらうことが多いです。将棋の駒は双方20枚ずつですが、先生の駒のうち10枚をしまう(使えなくする)10枚落ちから始めました。生徒が強くなってくると、しまう駒を少なくしてハンデを調整します。 藤井聡太七冠のようなタイトルホルダーの棋士の教室は無いですが、藤井七冠からタイトルを奪って話題を集めた伊藤匠叡王には教えていただいたことがあります。戸辺先生の教室にはゲスト棋士が交代で教えに来てくれ、まだ棋士になりたてだった4年くらい前に伊藤先生(※将棋ファンは棋士を先生と呼ぶことが多い)がゲストでした。教えることに慣れていなかったみたいで、手加減してくれず、生徒のほぼ全員が駒落ちでボコボコに負けてしまいました。 教室以外にも棋士の指導対局会という単発で教えてもらえる会も将棋界では頻繁に行われ、推しの棋士に教えてもらうチャンスもあります。 ――将棋界にはたくさんの棋士がいて、それぞれファンがいるのでしょうか。将棋界のしくみを簡単に教えて下さい。 さくら 棋士と女流棋士は別々に戦っています(女流棋士については#2で)。棋士は全員で170人ほどいて、それぞれ全員が参加するトーナメントやリーグ戦で優勝者を決め、優勝者がタイトル保持者に挑戦するのがタイトル戦です。タイトルは8つ(竜王・名人・王位・王座・棋王・王将・棋聖・叡王)あり、挑戦者が勝てばタイトル保持者は交代。8つのタイトルは新聞社がスポンサーとなって主催するものが多く、各新聞には将棋に関する記事がいろいろ出て、それもファンの間で人気があります。各新聞社が将棋の映像配信もすることも増えてきました。8つのタイトル以外にも一般棋戦と呼ばれる対局がいろいろあります。