なぜ「会場限定グッズ」商法をやめられないのか ファンと転売屋の間で板挟みになる“推し活”ビジネスの実態
同じトラブルは今後も繰り返される
転売問題はこれからどうなるのだろうか。推し活を煽る社会的な風潮もあり、完全になくすことは難しいという意見がある。社会人であれば、イベント開催日に必ず休みを取れる人は稀であろう。そういった人はSNSでは転売屋をバッシングしながらも、実はフリマサイトでひっそりと転売屋から限定グッズを購入していたりするものだ。背に腹は代えられない、わけである。 また、イベントは何かと地方民にとって不利な面が多いが、インバウンドの増加などに伴って都市部のホテルは高騰が続いているのも頭が痛い問題だ。地方在住者は容易に旅行ができなくなっている。そのため、多少の金額を上乗せしても、「転売屋から買ったほうが安い」というジレンマに苦しむ人がいる。こうした隙間を突いて利益を得ているのが、転売屋というわけだ。 運営側も、転売屋とファンの板挟みになって苦しんでいるのは事実のようだ。前出の芸能マネージャーは、「同じトラブルを繰り返しているように見えるかもしれませんが、運営も手探り。地方のファンからは“うちの町にもライブに来てほしい”というリクエストは常にありますが、うちの集客力では現実的ではないのも事実ですし…」と話す。運営にもファンにもメリットがあるような、最適解が見つかることを願いたい。
ライター・宮原多可志 デイリー新潮編集部
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