スズキが量産型EV「eビターラ」初公開 来年夏に発売へ 180馬力の四駆モデルも設定
航続距離は400km? オフロード走行にも対応
スズキがついに初の量産型EVを発表した。2025年から日本を含む世界各国の市場で販売開始予定だ。 【写真】「エスクード」のEV版!? ついに量産型が登場【スズキeビターラを写真で見る】 (11枚) スズキは11月4日、新型「eビターラ(e Vitara)」を欧州で初公開した。昨年発表されたeVXコンセプトの市販バージョンで、欧州市場でなじみのあるビターラ(エスクードの欧州仕様)の名を使用し、販売に弾みをつける。 全長4275mm、全幅1800mm、全高1636mmと、現行型のビターラよりもわずかに大きく、ボルボEX30やミニ・エースマンなどのライバルとして位置づけられている。乗車定員は5人。 ベースには、EV専用に新開発した「Heartect-e」というプラットフォームを採用。室内空間を最大化するように設計されており、2700mmというパッケージングに適したホイールベースを持つ。 比較的小型の49kWhと大型の61kWhの2種類のバッテリーを欧州に導入する。航続距離はまだ公表されていないが、スズキは大型バッテリーで400kmを目標にしているという。最大150kWの速度で充電できる。 フロントにモーターを搭載し、最高出力は49kWhバッテリーモデルで144ps、61kWhバッテリーモデルでは174psとなる。最大トルクはどちらも19.3kg-mである。 61kWhバッテリーモデルのみ、リアアクスルにモーターを追加した四輪駆動バージョンも可能だ。これにより、合計出力は183ps、最大トルクは30.5kg-mに向上する。 四輪駆動では、オフロード走行用に2基のモーターを個別制御する「Allgrip-e」システムも装備される。「レスポンスに優れた緻密なコントロール」を実現するとされ、その一環として、トレイル・モード(基本的にはリミテッド・スリップ・ディファレンシャル機能)を備えている。 スズキの鈴木俊宏社長はeビターラについて、「お客様にとって使いやすいBEVとするため、試行錯誤を重ねて開発した」「カーボンニュートラル実現のための非常に重要なマイルストーン」だと述べた。 スズキはハイブリッド車やEVのラインナップを増やすなど、「カーボンニュートラル社会の実現に向け、さまざまな選択肢」を提供していくという。 eビターラは2025年春からインドで生産を開始し、同年夏ごろより欧州、インド、日本などで発売する。価格はまだ明らかにされていないが、現行のビターラの位置づけを反映した手頃な設定になると期待される。
ウィル・リメル(執筆) 林汰久也(翻訳)