中国のスタッフも「シャンシャンはスター」、日本から会いに行く人も…ファンが見た唯一無二の“個性”とは
中国の基地スタッフが「シャンシャンはスター」と
小澤 シャンシャンの可能性をすごく感じたことがあります。というのも、成都基地へ撮影に行ったとき、シャンシャンは成都基地の管轄ではないにもかかわらず、スタッフが「シャンシャンはスターだ」と言ったのです。シャンシャンに限らず、パンダは僕よりぜんぜん格上。もう尊敬しています。 莟玉 僕もかなり羨望や憧れを持っています。存在するだけで、我々をここまで幸せにできるのはすごい。 中川 シャンシャンは中国に行ってからも人気で、連日、日本から人が会いに行っています。私は昨年10月に公開が始まって3日後に行ったのですが、現地にはもう日本から来た方がいて驚きました。シャンシャンがいる雅安基地(中国ジャイアントパンダ保護研究センター雅安碧峰峡基地)は、行きやすい場所ではないのですが。 莟玉 僕も早く会いに行きたくて。その日のために、基地までのルート紹介動画でイメージしています。シャンシャンの動画を見ていると、皆さん静かに観覧していますよね。 中川 うるさい人がいると、中国の人たちも「しーっ」と注意していました。 莟玉 桜浜・桃浜は成都基地に順応していましたか? 中川 はい。飼育員さんに中国語で名前を呼ばれたら反応していました。
パンダの前ならどんなに偉い人も平等
莟玉 僕は「常に心にシャンシャンを」と思っています。クサクサしたりイライラしたりしたときにシャンシャンを思うと、ほっこりした気持ちになれるんです。パンダは生き残るために自分を変えてきた。内臓は肉食のままなのに、竹を食べるために順応しちゃう。絶滅が危惧されながら「種を残さないと」と追い立てられる感じもあまりしない。そこもガツガツせず、おっとりしたところにつながり、僕らが感じるパンダの魅力なのかなと思います。 小澤 3人ともパンダにやられちゃってますね(笑)。パンダって、耳や目、手足は黒なのに、しっぽだけ白。面白くないですか? 僕はファッションに取り入れているんですよ。キメキメなのに一個だけ外すとか。「さすがパンダだな!」と思いながら。 莟玉 パンダとのゼロ距離はまだなのでいつか……。経験ありますか? 中川 もうできないと思いますが、2007年に中国で2000元(当時で約3万円)を支払い赤ちゃんパンダを抱っこしました。ビニール製の手袋と服を身に着けるので、感触はよくわかりませんでしたが、大人のパンダは素手でさわれてゴワゴワでした(笑)。 小澤 パンダに近づくには、国家元首だろうとNBAのスーパースターだろうと、ビニールの服を着る必要がある。パンダの前ならどんなに偉い人も平等になるんです。それでまたパンダを尊敬しちゃう。かなわないなって。 莟玉 一日中、ビニールの服を着てもいいからパンダと過ごしてみたいです。シャンシャンのお腹をもふもふして。なんなら殴られてもいい。 小澤 むしろ本望かもしれない。 莟玉 本望ですよね(笑)。 小澤 僕はクマ笹のドリンクを買って飲んでいます。パンダが好きすぎて、ついに笹にまで手を出しました。 ≪Panda Goods≫ パンダカラーの服でお気に入りのグッズと。 小澤さん:韓国で生まれたフーバオのぬいぐるみ。少し茶色いのがポイント。 中川さん:欧州や上野動物園のバッグ、ノートなど。 莟玉さん:上野動物園・アドベンチャーワールド・王子動物園のクッションとぬいぐるみと箱。 ●今回お話を聞いた方々は…… 小澤千一朗(おざわ・せんいちろう)さん 編集者・ライター。雑誌『Sb Skateboard Journal』のディレクターを務めるほか、パンダの写真集を刊行。近著に『HELLO PANDAと「楓浜とハローパンダと。」』(エムピージェー)がある。 中川美帆(なかがわ・みほ)さん 経済誌の記者を経て、国内外のパンダの生態や歴史などを取材し記事を書いている。これまでに23カ国・地域の41カ所のパンダの飼育施設を訪れた。著書に『パンダワールド We love PANDA』(大和書房)がある。 中村莟玉(なかむら・かんぎょく)さん 1996年9月12日生まれ。人間国宝・中村梅玉の養子。立役も女方もつとめる、平成生まれの歌舞伎俳優。博多座での『六月博多座大歌舞伎』に出演中。6月22日より、明治座にて朗読劇『細雪』に出演。 HELLO PANDAと「楓浜とハローパンダと。」 定価 1,980円(税込) エムピー・ジェー パンダワールド We love PANDA 定価 1,650円(税込) 大和書房 K-POP界のレジェンド、ドンヘさん、ウニョクさんをお迎えしたスペシャルインタビュ―、JOさんと愛猫ミントの貴重な2ショット、SNSで話題沸騰中のマンガ『猫に転生したおじさん』作者・やじまさんによる特別描きおろしマンガ&シール付録など、「猫のいる毎日は。」特集は「CREA」2024年夏号でお読みいただけます。
中川美帆