ECB総裁、仏支援に直接回答せず 「物価と金融安定は相関連」
[フランクフルト 4日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は4日、ユーロ圏の経済成長は今後数カ月で鈍化する可能性があり、中期見通しは不透明で下振れリスクが優勢との見方を示した。ブリュッセルで開かれた欧州議会の委員会で述べた。 ユーロ圏経済は過去1年半にわたって停滞が続いており、長らく予想されていた景気回復は実現していないうえ、フランス政局混迷により一層困難になっている。 市場の混乱が大きくなった場合にECBがフランス支援に踏み切るかとの質問に対し、ラガルド総裁は直接の回答を避け、「物価と金融の安定は相互に関連している。どちらか一方がなければ、もう一方も存在しない」と言及。金融安定はECBの主たる使命である物価安定に関係する要素だと述べるにとどめた。 またECBはインフレ対策を「確約」しており、不当かつ無秩序な市場の圧力にさらされた国の国債を無制限に購入することが可能な「伝達保護措置(TPI)」など複数の仕組みを駆使していると指摘した。 フランス国債利回りはここ数週間上昇基調にある。政権が崩壊すればさらに上昇する可能性があるため、投資家の間でECBの潜在的役割が注視されている。 しかし、市場の動きが無秩序でも不当でもなく、フランスは財政赤字抑制に向けた取り組みを進めている最中であるため、フランスがECBの支援対象となる可能性は低いとみられる。 このほかラガルド総裁は「調査に基づくデータは、サービス部門の成長鈍化と製造業の継続的な縮小を背景に、短期的には成長が弱まることを示唆している」と指摘。 「地政学的リスクが高まっており、国際貿易への脅威が増大している」とし、貿易障壁が製造業や投資に脅威を与えることになるとの見通しも示した。