近江、相手も仰天の「代わりばな」スクイズ 成功の秘けつ センバツ
第94回選抜高校野球大会は第9日の28日、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で準々決勝があり、近江(滋賀)が金光大阪を破ってセンバツで初の準決勝進出を果たした。滋賀県勢として春夏通算60勝。近江は新型コロナウイルスの感染者が出た京都国際の参加辞退により近畿地区補欠1位校から繰り上げ出場した。補欠校で出場したチームとしても大会史上初の4強入りとなった。 【近江vs金光大阪 近畿勢対決を写真で】 ◇ 七回無死三塁。金光大阪の2番手・福冨が1球目を投げるやいなや、近江の3番・中瀬は体の重心をぐっと下げてバントの構えを見せ、低めの球に飛びついた。仰天の初球スクイズだった。 投手の代わりばな、ノーアウト、初球。相手投手の球筋も制球力も分からない中、打者はプレッシャーがかかる難しい場面だろう。だが、だからこそ、「虚を突かれた」と金光大阪の横井監督。その一方、「心の準備はできていた。やっときたか、と思った」と中瀬。昨秋は2番を任されていてバントに自信があり、試合前日もスクイズの場面を想定してバント練習に時間を割いていた。体勢を崩されながらも、外角低めの球を三塁線にゴロで転がして三塁走者を悠々と生還させ、点差を3点に広げた。 近江の打撃練習のうち半分はバントだ。それは「打つだけでは勝てない」との考えが浸透しているからだ。もちろん、ベンチ入りメンバーにバントが苦手な選手はいない。 それは走塁の高い意識にもつながる。この回のスクイズの直前、無死一塁から2番・横田の犠打で、相手がバント処理を悪送球した間に、一塁走者の津田は一気に本塁を陥れた。バントに「足攻め」。「水物」と言われる打撃ではなく、堅実に小技で得点を重ねていった。 七回表の守りでは逆に、金光大阪のスクイズを防いでリードを守っていただけに「そこが明暗かな」と多賀監督。七回の攻防に、細部まで突き詰める近江の強さが表れていた。【大東祐紀】 ◇全31試合をライブ中継 公式サイト「センバツLIVE!」(https://mainichi.jp/koshien/senbatsu/2022)では大会期間中、全31試合を動画中継します。また、「スポーツナビ」(https://baseball.yahoo.co.jp/hsb_spring/)でも展開します。