「選挙でオープンカー」なぜいない?「候補者は目立ってナンボ」とはいかない法律のカベ
選挙カーの知られざる使用条件やルール
2024年10月27日は第50回衆議院議員選挙の投票日です。選挙戦が始まると街中で見かける機会が増えるのが「選挙カー」(街宣車)でしょう。じつはこの選挙カー、どんなクルマでもOKかというとそんなことはなく、公職選挙法で細かな使用条件やルールが定められています。 【スバリス党の公認!?】スバルブルーが映える「BRZ」の選挙カー(写真) たとえば、選挙で候補者が使用できる選挙カーの車種は、3ナンバーの普通乗用車、5ナンバーの小型乗用車と軽乗用車、4ナンバーの小型商用車と軽商用車に限られます。ただし、候補者の身体に障害がある場合は、福祉車両に限って8ナンバー車の使用が認められています。 なお、8ナンバーの中でも街頭広告や宣伝を目的とした「広報宣伝車」は使えません。加えて意外なところでは、オープンカーやトラックなども使用不可です。これは、ボディ形状に関してセダンやステーションワゴン、ライトバン、SUV、ワンボックスカーなど固定ルーフが備わることが条件に入っているためです。 一方、候補者ではなく政党幹部などが応援演説で乗る「政党車」は、乗車人数が多くなることから、マイクロバスやトラックを改造した8ナンバーの「宣伝広報車」の使用が認められています。 なぜ、諸外国では選挙カーとしてよく見られるオープンカーが、日本の選挙では使用できないのでしょうか。 その理由は「品位に欠けるから」です。オープンカーの使用禁止を定めた条文は、1962(昭和37)年の公職選挙法の改正で盛り込まれました。当時の選挙活動は、天蓋のないトラックが用いられることが多く、走行中に候補者が荷台に立って道行く人々にペコペコ頭を下げる姿がみっともない、ということで禁止になったのだそうです。 元々はトラックの使用を規制するための法改正だったのですが、屋根のないクルマということで、オープンカーも巻き添えを食うかたちで使用が許されなくなりました。その後、規制緩和を求める声がどこからも挙がらないことから、現在でもオープンカーは使用できない状況が続いています。