ピッチングで多い「足の向きの癖」をどう直す? ボールに威力が伝わる“ジャンプ矯正”
ジャンプドリルはスローイング矯正に加えて打撃向上にも役立つ
ジャンプドリルは至ってシンプルだが、重要な要素が詰まっている。右投げの場合、右足の膝を立てて横向きで片膝立ちをし、そこから投げる方向(左足側)へ体全体を向けながらジャンプし、両足で着地する。推進力は投げたい方向へ向かっているので、ジャンプする方向さえ間違っていなければ、着地の際にインステップやアウトステップすることはない。 慣れてきたら、ジャンプの際に右足のつま先は地面から離れないようにし、左足のみを投げる方向へ踏み出す。これで、より投球時の下半身の動きに近づける。 大切なのは、左肩の位置をそのままに、体が開かないように下半身の向きを変えること。左足が着地した時点で、ベルトのバックルが投球方向を向いていることが理想だ。上半身と下半身の捻転差が力を生み、腕が“振られる”ことにより、勢いのあるボールを投げることができる。 「ベルトが前を向いた時に、前の肩が開かずに残っていることが、いわゆる“割れ”や“ねじれ”と言われる状態です。これは打撃の動きとも連動していて、下半身から動いて、最後にバットが出てくる。速いボールを投げる子が、チームで一番ロングティーを飛ばしたりするケースも多いです」 プロでも投手がロングティー、野手が投球練習やプルダウン(助走をつけての全力投球)などを練習メニューに取り入れることがあるが、普段とは違う動きで“割れ”や“ねじれ”を再確認し、体の切れを取り戻すことが狙いにある。ジャンプドリルは、スローイング矯正のみならず、打撃力向上にも効果がある。
内田勝治 / Katsuharu Uchida