「野球7回制」は実際どうなのか? 導入された社会人野球で聞いた選手・指導者たちの賛否両論
社会人野球の視点から考える「高校野球7イニング制」可否
では、社会人野球関係者は「高校野球の7回制導入検討」をどのように感じているのか?その是非を問うてみると、さまざまなの意見が聞かれた。 まずは監督側の意見から。 「8回9回に野球の醍醐味がある。JABA広島大会のように日本選手権予選前の調整要素が高い大会なら7回制もありだと思いますけど、全国大会への勝負がかかったところや、全国大会での7回制には抵抗があります」(JR西日本・田村 亮監督)という否定的見方が多くを占めた。 一方で、「希望は9回制ですけど」と前置きしながら、「現状、屋外であの暑さの甲子園では7回制でも仕方ない。もし9回制にするなら3回戦までは京セラドーム大阪、準々決勝からを甲子園にした方がいいですね」と、対案を提示したしたのはJFE西日本・内田 聡監督だ。 また、伯和ビクトリーズ・内山 孝起監督は7回制導入に前向き。「いいと思う。2~3回あるチャンスをしのぎあう緊迫感ある展開になると思います」と、新たな高校野球の誕生に期待をかけていた。 選手側の意見で興味深かったのは、九州国際大付時代に2年連続で夏の甲子園出場経験を持つ伯和ビクトリーズ・中山の「僕らのような社会人野球選手は7回制への対応力を持っているが、高校生は苦しいと思う」という意見。確かに技術・経験の上下幅が広い高校野球の特徴を鑑みれば、導入の可否判断や段階にはより慎重さが求められるだろう。 ここまで記してきたように、高校野球での7回制はあらゆる側面から検討が加えられるべきだ。7回制を試みるとしても夏の甲子園により状況が近く、かつ全国大会に直結しない夏の新人戦から導入するなど、健康管理と球児や高校野球にかかわる人々の想いの最大公約数に沿った議論が必要になるのではないだろうか。