【女性殺害切断遺棄】裁判長は「突発的犯行でない」「罪重大さ自覚さす」…被告に求刑通り懲役18年判決(地裁浜松支部)
2023年2月、交際関係にあった知人女性を鉄製のハンマーで殴った後、スマートフォンの充電ケーブルで首を絞めて殺害。さらに糸のこぎりなどを使い遺体を切断し、自宅バルコニーなどに遺棄した罪に問われている静岡・沼津市の32歳の男の被告に、14日、地検浜松支部で判決が言い渡されました。争点となっていた「犯行の計画性」について、どのような判断が下されたのか? 沼津市の無職で32歳の被告の男は、2023年2月、交際関係にあった知人の女性を、鉄製のハンマーで殴った後、スマートフォンの充電ケーブルで首を絞めて殺害。糸のこぎりなどを使って遺体を切断し、自宅のバルコニーと車に遺棄した罪に問われています。 被害女性が住んでいたのは被告の男が住んでいた沼津市から直線距離で約100キロ離れた磐田市でした。2人は青年会議所の活動で出会い、2022年、県内の青年会議所でつくる「静岡ブロック協議会」で同じ委員会に所属。被告の男は妻と2人の子どもがいたにもかかわらず、被害女性と交際関係に発展しましたが、その後、金銭トラブルになったことがわかっています。 最大の争点となったのが「犯行の計画性」です。先週の被告人質問。事件当日の2023年2月21日、交際関係を解消するため静岡市内で被害女性と会ったという被告。弁護人から犯行に及んだ理由を問われると…。 (被告) 「女性から金を払っても家族の安全に保障はないと言われ衝動的にハンマーを取り出し殴りました」 これに対し、検察官は、被告が「女性を脅すために自宅からハンマーを持ち出した」と主張していることについて問いただしました。 (検察官) 『ハンマーを取り出してから殴るまでの時間は?』 (被告) 『すぐだと思います』 (検察官) 『被害者にハンマーを見せましたか?』 (被告) 『見せていません』 (検察官) 『実際にハンマーを見せて脅さなかったのですか?』 (土屋被告) 『していません』 6月10日の裁判で、検察側は「強い殺意があり一定の計画性があった。尊厳を踏みにじる残忍で悪質な行為」として懲役18年を求刑。弁護側は「追い詰められた末の突発的な犯行だった」として懲役13年以下の判決を求めました。この日、意見陳述した伊藤さんの母親は土屋被告の犯行を強く非難し厳罰を求めました。 (被害女性の母親) 『娘の顔は見られたものではありませんでした。痛かったし、悔しかったと思います。あなたのせいでめちゃくちゃです。ずっと刑務所にいてほしい』 そして、14日、地裁浜松支部は土屋被告に対し懲役18年を言い渡しました。来司直美裁判長は「ハンマーを用意して犯行に及んでいて、計画性があったとまでは言えないが、突発的な犯行ではない」「裁判まで遺族に謝罪せず、弁償の提案もしていないことから、罪の重大さを自覚させ猛省を促すべき」として、求刑通りの判決となった理由を述べました。 また、被告の男に対しては、「刑務所で重大な犯罪の一部始終を振り返り、遺族に何ができるか考え続けてほしい」と語りかけました。