香りはバナナ、味は焼き芋…「東京島酒」ってどんなお酒? 国が18年ぶりに「お墨付き」、都心から100キロ以上離れた島々の挑戦とは
知る人ぞ知る酒だった東京島酒が国の「公認」を得た影響は、八丈島だけでなく他の島の若い作り手にも刺激を与えている。 その一つ、新島の蒸留所「宮原」で杜氏を務める桜井浩司さん(31)は8年前の入社以来、酒瓶のデザインなどにもこだわりながらブランド強化に力を入れてきた。 最近では、より「新島産」にこだわった酒造りを目指し、自社農園で島特産のサツマイモ「あめりか芋」の栽培を本格的に開始。強い甘みと香りを持つあめりか芋を原料にした新島の東京島酒は、他の島にはない独特の風味を生んでいる。 桜井さんは、今回のGI指定を足掛かりに、島の日常に溶け込んだ毎日飲める島酒の魅力を広く発信したいと語る。「GIはあくまで第一歩で、まだ世間的にはブランドとしては認められていない。島で造ったからこそ出る味を多くの人に知ってもらう。将来は、九州の焼酎や沖縄の泡盛にも負けない、島酒と言えば東京島酒のことだと思ってくれるところまで育てていきたい」。挑戦は始まったばかりだ。