財産を狙っていた不仲の親戚に「金ばかりほしがって。恥を知れ恥を」…わずか3,900円で成し遂げた“理想の相続”【司法書士が解説】
家族の死は大変つらく、悲しいものです。そして、遺された家族は悲しむ暇もなく「死後の手続き」に追われます。ここで、もしも相続の生前対策ができていない場合、遺産を巡って親族間で争いが起こることも珍しくありません。そこで『親を見送る喪のしごと』の著者で作家・エッセイストの横森理香氏が、相続で有効な対策について司法書士に話を聞きました。みていきましょう。
相続時の注意点…死後の「銀行凍結」には要注意
死後の事務手続きについて、知り合いの司法書士に話を聞いてみた。私が主宰する「一般社団法人日本大人女子協会」の登記、役員更新をお任せしている大人女子だ。 銀行が口座名義人の死亡を把握すると、口座は凍結されるという(ただ、死亡届を提出しても、役所から銀行等に連絡をされることはないそう)。 そのため、「父が亡くなったのですが、入院費の支払いのため貯金の引き出しを」などと窓口で言うと直ちに凍結され、相続後にしかお金はおろせないことになる。 なので、銀行に口座名義人の死亡が知られないうちに、ATMで必要なお金を引き出す作戦に出る人も多いようだが、地元の信用金庫などの場合、すぐさま知られておろせないことになるようだ。 「貸金庫も凍結されます。もろもろの手続きには時間がかかるので、そういうことは生前、ご家族で話し合われておいたほうがいいかと思います」 ほとんどの人は、話し合いで解決できる相続問題。しかし、親戚の中には守銭奴もいて、家庭裁判所に持ち込むケースもあるという。 銀行口座の凍結解除手続き (1)窓口で口座凍結解除を依頼 (2)必要な書類の収集(相続届〈銀行の所定用紙〉、相続人の確認ができる戸籍謄本、遺言書か遺産分割協議書か相続関係届出書、法定相続人全員の印鑑証明書等*金融機関によって異なる) (3)必要書類を銀行に提出。手続きが完了するまで、2~3週間を要します。
遺言は「公正証書」がベストだが…自筆なら「保管制度」の活用を
公証役場で証人2名立ち合いのもと(立ち合い人を連れてこられない場合、役場の人を頼めるが、1人1万5,000円程度の謝礼が必要)で作る「遺言公正証書」は財産額によるが、だいたい5万円ほどかかる。 しかしこれは家庭裁判所の検認手続きが不要になるし、公証人が遺言者に面談し作成しているため、親族間の争いが起こりにくい。 公正証書を作らないまでも、令和2年1月10日から法務局が実施している「自筆証書遺言」を保管してくれる「自筆証書遺言書保管制度(費用は3,900円)」もそれなりに有効らしい。 「自筆証書遺言は家庭裁判所に検認の申し立てをし、家庭裁判所から相続人全員に連絡があり、筆跡が本人のものであるかの確認をされるのですが、法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用すると、この検認の手続きをカットできるのです」 そこには、何々を誰にという遺言のほか、さまざまな「思い」を書き込めるのだという。「ある方のケースですが、財産を狙っていた冷たい親戚に対して、『おまえらは俺に会いにも来なかったくせに、金ばかりほしがって。恥を知れ恥を』と書いてあったんです。そこまで書かれて、それでもほしがる人はいない」 結果、財産は譲渡したい家族に100パーセント譲渡できたのだという。
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