ラグビーで二刀流はアウト?!異色の大学生トップリーグラガーマンの奮闘
社員選手の多い日本のラグビー界にあっては、最終学歴としての大学という機関は切っても切り離せない。さらにパナソニックの契約選手として「いい経験をさらに上乗せして、いい選手になりたい」と語る山沢をはじめ、有力な大学生は関東と関西に集中。彼らが学校へ通いながら練習へ通えるトップリーグのチームは、数が限られている。サッカーJリーグのような練習生のシステム導入が議論された際も、地方のチームが地域格差を訴えていた。大学側としても、学費免除やその他の支援など、実力者にかけるコストは高い。 もちろん、かようなハードルが重なっていたからこそ、山沢のチャレンジの価値は大きかった、とも取れる。 筑波大の古川監督は、二重登録に関する交渉中にこう話していた。 「すぐにトップリーグでやれる選手は、各大学でもほんの限られた数名です。その子たちに、どんどん場を与える。僕は、そう変わらなきゃだめだな、と思っています。もしかしたら、今年の二重登録は無理かもしれない。ただ、今回のことがきっかけになれば…」 果たして今度の事例によって、若者の選択肢は増えるだろうか。形骸化しつつある「アマチュアリズム」を超越したルール作りに、日本協会が腰を上げるようになるか…。 あくまで自分の未来のためにプレーする山沢の一挙手一投足は、いま、複層的な意味を持っている。 (文責・向風見也/ラグビーライター)