ローソンが「過疎のスーパー跡地」を狙う理由、コンビニ出店競争は激化、地方でどう戦うのか
■エリアカンパニー制も出店を後押し 全国で出店余地が限られる中、ローソンはこうしたチャンスをものにするために取り組んできたわけだ。 変わった運営方式の店の例もある。今年7月に地区唯一だった生鮮小売店跡地に開業した長野県下伊那郡の阿南町新野店は、買い物場所に困った地元住民が形成した組合によって運営されている。そのほか、地方スーパーチェーンがローソンのフランチャイズに加盟し、既存の店舗を建て替え、新たにローソンを出店する事例もある。
スーパー跡地ではないが、富山県の立山町にある立山町役場店のように、書店が1店舗もない地域に、書店併設型のコンビニ出店も進めている。 ローソン常務執行役員の川畑卓開発本部長は「2022年の着任早々、スーパー跡地への出店を研究し、採算が見込めるところへアプローチを続けてきた」と話す。以前はこうした形の出店はほぼゼロに近かったが、最近では年間10店程度は出店するようになっているという。 同社は現場への権限委譲を目的に、2022年度から北海道、近畿で導入していたエリアカンパニー制を翌年度から全国に拡大。それぞれのエリアを担当する開発部も各カンパニー傘下に設置した。
各地域の開発部の直接的な所管は、東京本社の開発本部ではなく、各カンパニープレジデントとなった。「それぞれのカンパニーに予算が振り分けられており、地域の裁量が拡大したことで、従来は消極的だった立地への出店も増えてきた」(川畑氏)。 疑問なのは、黒字が見込めるとはいえ、なぜあえて厳しい地域で出店を推進するのかということだ。 下の表を見てほしい。都道府県の中でも65歳以上の年齢構成比(高齢化率)が高い都道府県における、大手3チェーンの店舗数だ。
国内総店舗数で業界3位のローソンだが、高齢化率上位12県のうち9県でトップシェアを持つ。ローソンはこの12県に総店舗数の13.5%が立地しており、セブン‐イレブン(7.8%)、ファミリーマート(9.5%)と比べてもその比率は高い。 こうしたデータから見ると、大手3チェーンの中でもローソンが高齢化、人口減少の影響をより強く受ける可能性が高い。首都圏での店舗拡大が重要なのは言うまでもないが、出店競争は過酷だ。