【大学野球】立大1年生左腕・田中優飛が初先発リーグ戦初勝利 来季を見据えた意味でも大きな1勝
持ち球を封印しての快投
【10月27日】東京六大学リーグ戦第7週 立大13-5東大(立大2勝) 仙台育英高時代、公式戦での先発は2試合のみ。「日本一激しいチーム内競争」を掲げる同校にあって、左腕・田中優飛は必死に生き残ってきた。昨夏の甲子園で準優勝を遂げ、今春、アスリート選抜入試で立大に入学した。 東大2回戦。リーグ戦初先発を任されると5回1安打無失点で、うれしい初勝利を挙げた。1年春に2試合、今秋も5試合はすべて救援登板。リリーフ時は、すぐにトップギアを上げなくてはいけない難しさがある。先発はアタマから自分でピッチングを組み立てることができ、精神的な余裕が生まれたという。 「中継ぎでは初球、ボールになると、2球連続ボールになったり……。今日は初球からストライクが取れた。カウント優位で投球できました。中継ぎのときはフォークが抜けることがありましたが、今日は振ってくれました」 あえて、ストレート、スライダー、フォークで勝負を挑んだ。「この3球種を軸に、投げていかないといけない。自分で制限をかけた。試合前から決めていました」。持ち球であるカーブ、カットボール、ツーシームを封印した中での快投だった。あくまでも上を見る。 「東京六大学の投手である限りは、第1戦の先発を目指していかないといけない。来春は1回戦で投げたいと思います。冬で5キロはスピードをアップ(現在の最速は149キロ)させて、すべての面でレベルアップしたい」 仙台育英高で切磋琢磨した右腕・高橋煌稀は早大、右腕・湯田統真は明大、左腕・仁田陽翔は立正大に進学した。気になる存在だ。 「どこに行っても、あの3人とは比べられる。負けたくないです」
立大は東大2回戦で連勝し、勝ち点2の4位でシーズンを終えた。試合後の会見では3学年上の主将・田中祥都(4年・仙台育英高)が横にいた。3学年先輩であるから、高校では入れ替わり。「須江(航)先生(監督)からも話を聞きましたし、頼もしいキャプテンです。練習から率先して、チーム内に声で発信し、姿勢で見せる主将です」。尊敬する先輩と、1年を接することができたのは財産だ。 立大はこの秋、軸で回った小畠一心(智弁学園高)、竹中勇登(大阪桐蔭高)、大越怜(東筑高)、吉野蓮(仙台育英高)の3年生右腕4人が残る。この枠に田中優が絡んでくれば、さらに投手陣の厚みが増す。2025年シーズンを見据えた意味でも、大きな1勝だった。 文=岡本朋祐
週刊ベースボール