周囲と違う「セールスポイント」はどう見つける?【里崎智也×五十嵐亮太のライフハックベースボール!】第30回
■みんなが褒めるのならば、あえて褒めない 里崎 亮太も僕も、フジテレビONE『プロ野球ニュース』に出演させてもらっているけど、この番組に出るときはいつも、「さて、今日はどんな文句を言おうかな?」っていう視点で試合を見ていますから。そんなスタンスで臨むのは僕くらいじゃないかな(笑)? 五十嵐 えっ、サトさんはそんな視点で試合を見ているの(笑)? それじゃあ、ネガティブすぎるというか、つまらなくないですか? 里崎 だって、「みんなが褒めるから、自分も褒めよう」というスタンスだったら、僕の存在価値がないでしょ。いつも「みんなと違う視点で発言しよう」という思いで試合を見ているから、必然的に文句が多くなる。それは、『日刊スポーツ』の評論でも同じ。もし文句のつけようのない試合だったら、「仕方ないから褒めようか」っていう感じだね(笑)。 五十嵐 そうしたことの積み重ねが「里崎智也」というブランドを作り上げているわけですね。難しいな......。そこまで戦略的に行動するのは。 里崎 いやいや、何も難しく考えることはないでしょ。この連載では何度も言っているけど、僕の場合はロッテでしかプレー経験がなくて、注目度が低い部分もあると思ったから戦略的に動かざるを得なかったけど、僕がやってきたことは誰にでもできることばかり。「誰にでもできること、でも、誰もやりたがらないこと」を地味にコツコツやってきただけだから。 五十嵐 さっきの「あえて褒めない」発言もそうだけど、サトさんの場合は単なる「逆張り」じゃないからいいんですよね。単に奇をてらっているわけじゃなくて、ちゃんとそこに理屈や理由があるから。それはやっぱり「誰にでもできること」じゃないと思うけど。 里崎 そこも大切だよね。始めから「人と違うことを言おう」というスタンスで「意識的に逆張りしよう」と思っても、本心からの言葉じゃないとどうしても嘘くさくなるし、ボロが出やすい。でも、そういうときには「あえて視点をズラす」ということを意識すれば簡単だと思うけどね。みんなが「勝者の視点」で語るのならば、あえて「敗者の視点」で語れば、確実に人とは違う意見になる。他の評論家が、「投手の視点」、あるいは「打者の視点」で語るのならば、僕は「捕手の視点」で語ってみるとか。 五十嵐 確かに「視点を変える」というのは、誰にでもできそうですね。人との差別化もできるし、自分でも気づかない意外な発見もありそうだし、いい方法かもしれない。その独自の視点こそが、自分だけのオリジナリティになって、ブランディングの確立に繋がるわけですから。 ーー前回、今回とマーケティング、ブランディングについて伺ってきました。次回からは、新たなテーマでお話していただこうと思います。引き続き、よろしくお願いします! 里崎・五十嵐 了解です! また次回もよろしくお願いします! 構成/長谷川晶一 撮影/熊谷 貫