周囲と違う「セールスポイント」はどう見つける?【里崎智也×五十嵐亮太のライフハックベースボール!】第30回
■ファンの不満をリサーチしてブランド価値を高める 五十嵐 サトさんの場合は、公式YouTubeチャンネルにあれだけのフォロワーがついているし、かなりマメに更新しているから、確かに「サトさんなら何でも知っている。何でも答えられる」というイメージが定着していますよね。「イメージが定着している」ということは、それは「ブランディングがうまくいっている」ということでもありますから。 里崎 さらに言えば、YouTubeチャンネルでの活動を通じて、「忖度しないで本音を言う評論家」というブランディングも意識しているよ。だから、「もうユニフォームを着るつもりがない」と公言しているわけだし。その結果、「現場に戻るつもりがないから、誰にも遠慮せずに里崎は本音が言えるんだ」というイメージ戦略にも繋がっている。ネタバレになっちゃうけど(笑)。 五十嵐 「こうありたい自分」をきちんと描けているから、イメージ戦略もできるわけですね。ますます、「サトさんは戦略家だな」という実感が強くなりましたよ。 里崎 まさに、それ! 今言ったようなことを通じて、「里崎は戦略家だ」というイメージ作りにも繋がっているわけだから。 五十嵐 でも、実際に前回の話に出たエゴサーチのエピソードも、ネットニュースのコメントからの情報収集も、徹底的に戦略的に行なわれているのは事実ですよね。サトさんの場合、「自然体で無理していない」というのか、「自分を大きく見せるために見栄を張らない」というのか、自分に嘘をつかずに素のままでいられるのも強みなんじゃないかと。 里崎 現役を引退して評論家になったときに、「12球団のファンを里崎ファンにする」という目標を立てたんだけど、そのために「全球団を均等に語る」「古巣のロッテに肩入れしない」とか、自分なりのルールを作った。結局それは、「セ・リーグ出身の評論家はパ・リーグの試合をほとんど見ていない」とか、「古巣チームのことは詳しいけど、相手球団のことはほぼ知らない」とか、ファンの人たちの不満を解消することとイコールなんだよね。だから、「ファンの不満をリサーチする」ということも、自分のブランド価値を高めるためには必要なことだと思うよ。 五十嵐 その点は僕も意識しています。仕事を振ってくれるメディアの人は自分に何を求めているのか? ファンの人が知りたいことは何なのか? つまり、「第三者の視点に立って自分を見つめ直すこと」はやっぱり大事になりますよね。ただ、サトさんの場合は他者の「願望」だけじゃなくて「不満」まで意識しているというところが人とは違う独自のポイントなのかな。話を聞いていて、そんな気がしましたね。