<箱根駅伝>駒大、東洋大は、連覇を狙う青学に勝てるのか?
少なくとも前回のように5区で青学大から致命的なビハインド(東洋大は5分59秒差、駒大は8分11秒差)をつけられることはなく、5区の予想タイムを考えると山で大差はつかない。となると、勝負のポイントは“平地”になる。しかも、近年は往路を制したチームが復路もそのままトップを突っ走るケースがほとんど。4区までの戦略がひとつのポイントになるだろう。 東洋大は全日本のときのように服部兄弟の区間で先制攻撃を仕掛ける。30kmで1時間28分52秒の日本学生記録(日本歴代3位タイ)を保持する兄・勇馬と、日本インカレ5000m王者の弟・弾馬。タイプの異なるWエースがそれぞれの持ち味を発揮できれば、爆発力は大きい。 東京マラソンに向けてトレーニングを続けている服部勇は3年連続の2区が濃厚。前回は1時間7分32秒で区間賞を獲得しており、今回は日本人で3人しか突入していない「1時間6分台」を狙っている。全日本2区を歴代3位の好タイムで走破した服部弾は酒井監督が「切り札」としての起用を示唆しており、1区と3区を軸に“勝負ポイント”と読んだ区間に配置することになるだろう。そして、全日本MVPの口町亮を4区に起用することができれば、山を前にセーフティリードを奪う展開も期待できる。 また、チームは前回よりも選手層が格段に厚くなっており、酒井監督は「トップと2分以内で往路を終えられれば」とも話す。他の選手が好調なら、服部弾を7区に起用する大胆な戦術も考えられ、復路での大逆転も視野に入れているようだ。
一方の駒大は大八木監督が「前半重視」のオーダーを明言している。主力である中谷圭佑、工藤有生、大塚祥平、馬場翔大、其田健也、西山雄介の6人のうち、最低でも4人を往路に投入する見込みだ。2区はユニバーシアード1万m銅メダルの中谷と同ハーフ5位の工藤が候補。区間上位が計算できる5区を含め、往路は青学大や東洋大と互角以上に戦える。ただし、7番手以降の選手は少し落ちる。そのため、総合優勝を狙うには往路Vが絶対条件になるだろう。 両校を迎え撃つ青学大は神野大地、久保田和真、小椋裕介、一色恭志の4本柱が主要区間を担うことになる。神野の状態が良くないこと、2区(一色恭志)で貯金をつくるのが難しいことを考えると、出雲と全日本で区間賞を獲得している“駅伝男”久保田の区間で連覇の流れを引き寄せたい。久保田は1区と3区が有力視されているが、原監督は何区に投入してくるのか。 青学大・久保田、東洋大・服部弾、駒大・中谷(もしくは工藤)。勝負のカギを握る3人が同一区間で激突する可能性もある。直接対決でライバル校に30秒以上の差をつけることができたチームが、その後の展開を考えるとかなり有利だ。3強がどんなオーダーを組んでくるのか。12月29日の「区間エントリー」に注目したい。 (文責・酒井政人/スポーツライター)