堀田茜さん「モヤッとした気持ちになることも多く、情報の選び方に悩みます」アーティスト・株式会社Cradle代表取締役社長・スプツニ子!さんに聞いてみた|CLASSY.
堀田茜が「30代になってなんだか気になる…」と感じるタイムリーな話題を、今会いたい識者に直接聞きに行く連載14回目。この話、ほったらかしにしなくて良かったと思える日が必ず来るはず!
今回のゲストは...スプツニ子!さん
【今月の茜のモヤモヤ案件】誰が書いた情報か。意識せず摂取していると男性視点が内在化するかも 昨今大きなニュースが続いていてSNSでもたくさんの人が情報を発信しています。それに助けられることもありますが、誤情報もたくさんあるし、モヤッとした気持ちになることも多く、情報の選び方に悩みます。30代になった今、正しい情報だけが欲しいですがどう選び取ればいいでしょうか?
「1.情報源を確認 2.誰が書いたかを意識 3.データに偏りがないかを見定める」(スプツニ子!)
スプツニ子!(以下ス):まずレベル0に「素人に聞かない」があります。例えば健康や育児など人の体や命に関わることなのに、医師や専門家の発信する情報を読まずにSNSや口コミサイトに書かれた「私の知人や家族はこうしてました」というような口コミを鵜呑みにしないで。同じような立場の人に言われる言葉を信じたくなる気持ちはわかるんですけど、あくまで素人の意見だと捉えてほしいです。そこでレベル1「信用できる情報源か確認する」です。SNSにある情報はレベル0の存在であることが多いので(そうでない人もいますが)、ある程度、質の高い情報を知りたい方は学会や研究機関の発表だったり、トラディショナルメディア(新聞や報道機関など一定の取材をしている伝統的な情報源)に戻ってきていると感じます。そしてレベル2「どんな立場の人が出している情報なのか」を調べること。その話題に合った経歴を持った人なのかとか、学会が出しているステートメントなのかチェックできるとベストです。あとは、例えば女性が当事者のニュースなのに書き手が男性だった場合、男性的視点で話がまとめられていないかと判断するような目線も必要です。偏った視点の情報でないかということなんですけど、メディアにも考え方の偏りがあります。 茜:偏りってどうすればわかるものですか? ス:なかなか難しいんですけど、いろんなメディアを見ると勘がついてくると思います。同じニュースをメディアごとに比較して読むとか。例えば、性加害や痴漢冤罪等の話題の場合、私はそのメディアの作り手のジェンダーもチェックします。男性目線に偏る記事ばかりが並ぶ媒体ではないかどうかも、堀田さんや読者のみなさんにとっては大事ではないですか?そういうメディアにばかり触れると、気づかずに男性目線を内在化することも起きてしまいます。 茜:そうか、言い方悪いですけど、そのメディアの考え方に洗脳されちゃうってことですよね。テレビの業界でもよく「今はコンプライアンス的に言えなくなっちゃったけど」と枕詞につけて何かを話す場面がよくあって。私もそういうのに毒されてきたと思うんですけど「言えなくなっちゃった」と言う時点で、根底の問題を理解しようとしていないのかなって。自分がいる場所の思想に偏ることもあると考えるとわかりやすいです。 ス:そうですね…。だから情報の偏りの話もつきつめていくと、社会構造の偏りの話になっていきますね。そして最後にレベル3。これは上級者レベルを目指したければですが、確かな出所の研究結果だったとしても、世の中の価値観に左右された仮説だったり、データを取った時期に起きた別の社会問題が影響した数値になることもあります。だから、データを上手く理解するには統計学の基礎知識があると良くて、統計入門の本を読むのもおすすめです。 茜:義務教育中にこういう話を教えてほしいですよね。SNSの見方とか。今私たちにも教えてほしい。 ス:堀田さんも編集部もSNSで女性のフォロワーがたくさんいると思うからぜひ情報リテラシーについて発信してほしいです(笑)。教育が追いつかない分、メディアとして。 茜:スプツニ子!さんは実際にどんなメディアを選んでいますか? ス:日本と海外の大手新聞社のサイトを見るのが日課です。とはいえ、これは表向きのカッコつけた答えで、疲れて難しい記事を読む気になれないときはラフなニュースサイトばっかり見ちゃいます。「びっくりたまげた、ダチョウの卵のサイズがすごい」とかそういう平和な記事(笑)。だから今、読みやすいけどためになる記事を生成するAIが作れないかなと妄想しています。 茜:わー読みたいです。ぜひ作ってください(笑)。今日は今すぐ実践できる話ばかりでとてもためになりました。スマホを触ってる時間って多いから、意識的にきちんとした情報を選べる人になりたいと思います。