「私でも騙される…」詐欺事件に詳しいジャーナリストが唸った“スパムメール”の最新手口 大手企業の名前を騙る“詐欺メール”にダマされる理由
ダークウェブの恐怖
犯罪だと把握していれば絶対にやらないという若者であっても、犯罪行為だと知らなければバイトとしてやってしまうのは無理のない話かもしれない。 無知ゆえの愚かさは自己責任という指摘もあるが、法改正により規制強化が施されたことはもっと徹底的に周知させる必要があるのではないだろうか。公共の利便性と社会の安全維持を踏まえて必要な情報を周知伝達させることは情報化社会の基本であり、セキュリティ面から見ても単なる情報開示だけで済ますよりも伝達活動に力を注ぐことが犯罪の未然防止にプラスの影響を及ぼすことが容易に考えられる。 また、2020年には個人情報保護法改正により、オプトインやオプトアウトで第三者提供できない個人情報データが増えた。これにより通称“名簿屋”と呼ばれる悪質業者による個人情報データの手売り転売が以前よりは難しくなった。だが「ダークウェブ(闇サイト)」を利用することで、いまだに個人情報などの転売がたやすくできる取引環境が整っている。 ダークウェブは、通常のWebブラウザーではアクセスできず、特定のソフトウェアのみでアクセスできるという秘匿性と匿名性に特化したサイトで、盗み獲られた氏名や住所などの個人情報だけでなく、IDやパスワード、クレジットカード番号やスパム用のプログラムツール、マルウェア作成ツール、ランサムウェア関連ツールなど、ネット詐欺やサイバー犯罪に必要な「道具や部品」が多数販売されている。
スパムメールは犯罪の根源
ハッカーによる不正ハッキングサービスの請け負い案内もあるほどだ。要するにダークウェブを摘発しなければこの手の犯罪が減ることはないだろう。この点についても法の強化や具体的な防止策を講じる必要性が大いにある。 「たかがスパムメール」と言う人がいる。「スパムが送られてきても無視してればいいでしょう」と言う人もいる。 しかし、スパムメールがあらゆるネット詐欺やサイバー犯罪の“種”であり、スパムメールはダークウェブを構築する“毛細血管”だ。スパムを軽視することは、実は「ネット詐欺やサイバー犯罪を助長している」ことにつながる。それを理解し、スパムメールは犯罪の根源という社会認識を高めることが重要だろう。 ちなみに、その後も私はフランス人ディレクターの依頼に従って、オウム真理教関連の資料を集め続けた。 オウム真理教事件は1980年代後半から1990年代中盤にかけてテロ集団と化したオウム真理教が国家権力打倒を目論んだテロ事件だった。 彼らが連続的に起こした多数のテロ事件は、多くの死者と後遺症に苦しむ負傷者を発生させ、国家権力打倒という目的を達成し得ないまま摘発、逮捕となり、教団代表者のみならず教団幹部や信者ら合わせて192人が起訴された。そして、2018年に代表者と幹部ら7人の死刑が執行された。