パキスタン警察、英殺傷事件の偽情報を広めたとされる男を逮捕 サイバーテロ容疑
パキスタン当局は21日、イギリスの騒乱をあおったとされる偽情報に関連し、サイバーテロの疑いで男を逮捕した。 警察がBBCに話したところによると、逮捕されたのはファルハン・アシフ容疑者。アシフ容疑者は、7月末にサウスポートで子供向けのダンス教室を襲撃した被告について、事実と異なる名前と、被告が小型ボートでイギリスに到着した亡命希望者だという虚偽の情報を掲載したウェブサイトに関与していた。 ウェブサイト「チャンネル3ナウ」は、襲撃事件の数時間後に、虚偽情報を含む記事を掲載。これはソーシャルメディアで幅広く拡散された。 ■内容検証せずに誤情報を拡散 アシフ容疑者に対する家宅捜索で、パキスタンの警察はラップトップ・パソコン2台と携帯電話1台を押収した。 これらの端末を分析した結果、「チャンネル3ナウ」のX(旧ツイッター)アカウントが認証されていることを発見した。 これを受け、ラホール警察は20日にアシフ容疑者を事情聴取した。 捜査関係者によると、アシフ容疑者は問題の記事について、イギリス拠点のSNSアカウントが発信していた情報を元に、その内容を検証せずに書いたと供述している。 また、アシフ容疑者はこのウェブサイトを一人で管理していたと話している。 警察の報告書によると、アシフ容疑者は、国内外のニュースを共有する目的で「チャンネル3ナウ」のXアカウントを運営しており、共有する前に情報の信憑(しんぴょう)性を確認することなく、他のユーザーから疑惑のツイートを拾ったと話したという。 警察は、同容疑者が「イスラム教徒の亡命希望者を警察が逮捕したという話を美化する目的でこのアカウントを使用し(中略)政府と国民に恐怖、パニック、不安感を植え付けた」とし、これを根拠に立件したと説明。 捜査報告書はさらに、「ファルハン・アシフは、責任を転嫁するため、共犯者について誤解を招く情報をBBCに提供したと認めた」としている。 パキスタンの連邦捜査局もその後、捜査に着手しており、ほかに関係者がいないか調べる方針だという。 BBCヴェリファイ(検証チーム)以前、「チャンネル3ナウ」に関連する複数の人物を突き止め、同サイトの「管理人」を名乗る人物に質問した。 その人物はBBCに対し、偽情報の掲載は「あってはならないことだが、故意ではなくエラーだった」と語っていた。 7月29日に発生したサウスポートの事件では、3人の女の子が殺されたほか、多数が重傷を負った。 また、この事件にまつわる誤った情報が広がった後、極右や反移民の活動家らが、イングランドや北アイルランドで、モスクや亡命希望者が宿泊するホテルなどを襲撃。暴動は1週間にわたって続いた。 イギリス検察庁(CPS)の20日発表によると、一連の暴動と騒乱に関連し、これまでにイギリス国内で494人が起訴された。 すでに130人以上が判決を受け、その大半が禁錮刑を言い渡されている。 当局は暴動に直接関わった人々に加え、インターネットで暴動をあおるなどの不法行為も起訴の対象にしている。 (英語記事 Pakistan arrests man over Southport attack disinformation)
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