ココイチ 業態多様に個性尊重 つけ麺・ジンギスカンも
■仲間作り
「これまでカレー一本でやってきたが、これからはココイチらしさにはこだわらない」と葛原社長は話す。20年以降、ジンギスカン、つけ麺、もつ鍋と、カレー店の延長にない買収で、グループ業態の多様化を図っている。ココイチの社風を押しつけたり、ブランドを冠したりすることはせず、個性を尊重し「外食の楽しさを提供する」という横串でつながる、“仲間作り”を広げる考えだ。 東海3県に展開しているあんかけスパゲティ専門店「パスタ・デ・ココ」や、カレーパンを主力とした「ココイチベーカリー」といった傘下事業と合わせ、グループ内で顧客も様々な店を選べるようになった。
■取材後記
取材を通じ、壱番屋は、不思議な事業体だと感じた。主力のカレーメニューについて、社員たちが「特徴のないのが特徴」「ライバルは家庭のカレー」などと気張らずに話すからだ。 味で個性を主張しないカレーに商機を見いだし、事業を成長させた創業者の視点には驚きを感じる。 2月末現在で愛知県内のグループ店舗数は189と、都道府県で最多だ。愛知県を含む東海地方で展開している、あんかけスパゲティの「パスタ・デ・ココ」も合わせ、街角でいつも近くにある存在として、親しまれている。 今、ココイチ事業の国内店舗拡大期を経て、壱番屋も成熟期を迎えつつある。M&Aによる多業態化も新たな活路の一つだ。これからも「食のエンターテインメント」を味わえる場所を創出してくれることを、壱番屋に期待したい。 (栗原守が担当しました)