「偏差値や学歴だけでは生きていけない」 小学校受験の増加と変化する学校選定基準とは
小学校受験に参入する共働き家庭が増えている。過熱する中学受験を回避したいと考える人が多くいるほか、「働いているからこそ感じたこと」をベースに学校を選ぶ人も。都内在住のワーママに受験体験談を聞いた。AERA 2024年12月16日号より。 【図表を見る】小学校受験をした共働き世帯の割合 * * * 未就学児が臨む小学校受験は、中学校受験と比べて、より多くの親のサポートが必要とされている。それゆえにワーキングマザーには不利だと言われてきた。しかし近年、挑戦する共働き世帯は増加傾向にあるという。ワーママの体験談を聞いた。 「『私が働いているから小学校受験はしない』という選択肢はありませんでした。チャレンジできる環境があるなら、やってみようという感じでしたね」 そう話すのは、金融大手で働く都内在住の女性(40)だ。 私立小学校に通う長女に続き、今年、次女も別の私立小学校に合格した。どちらも大学の付属の「名門小学校」だ。 女性の職場は在宅勤務は原則認められていないが、次女を受験準備の大手幼児教室の複数の校舎に通わせ、体操や絵画など受験に対応した別の教室も利用した。 平日の送迎は在宅勤務を利用する夫や身内などが担当し、自身も時間休や半休をフルに活用して乗り切った。 受験日が近くなると、家庭学習のプリントで子どもができないところばかりが目についた。感情的になることもあったというが「仕事に行くことで気持ちの切り替えができたのでよかった」と話す。 ただ、実際に長女の学校生活が始まってみると、ワーママはまだ少数派だと感じたことがあった。 学校のカラーかもしれないが「長女が入学した時、働く女性が少ないことは実感しました。最初のあいさつが『どちらの幼稚園のご出身ですか』なんですけど、毎回『うちは保育園出身です』というお断りから始めないといけませんでした」。 ■最近の中学受験に疑問 インターネットサービス企業で役員を務める都内在住の女性(42)は、ユニークな取り組みを積極的に進めることで人気の私立小学校に、来年4月から、長男を通わせる予定だ。 「好きなことに打ち込める環境を与えたかったので、学校の教育方針や教師の質を重視して学校を選びました」