「工藤会」幹部から恐喝被害、トップらに1450万円賠償求め提訴…福岡県警の費用負担制度を初使用
特定危険指定暴力団工藤会(本部・北九州市)幹部による恐喝被害に遭った男性が31日、同会トップで総裁の野村悟被告(77)(別事件で2審で無期懲役、上告中)らに約1450万円の損害賠償を求める訴訟を福岡地裁に起こした。訴訟に先立つ調査などの費用を福岡県警が負担する制度を使った初めての提訴。 【写真】工藤会総裁の野村悟被告
県警は2023年度、組員による組織的な詐欺や脅迫事件などの被害者を対象に、提訴に向けた調査などの弁護士費用を50万円を目安に県警が負担する制度を全国で初めて導入。男性はこの制度を利用し、暴力団対策法が定めた指定暴力団代表者への賠償責任規定などに基づき野村被告らを訴えた。
同会幹部の男(56)は18~22年、男性から計1200万円を脅し取った疑いで逮捕された。福岡地裁小倉支部は23年5月、「暴力団組織や上位者の威力を示した」として懲役4年を言い渡し、確定。男は同会を離脱し、現在は服役中。被害弁償はしていない。県警は「同様の訴訟が増えれば、暴力団の弱体化などにつながる。制度を積極的に利用してほしい」としている。