平均的な年収は「400万円台」といわれますが、統計上の平均年収は何円?
平均的な年収は「400万円くらい」であるといわれつづけています。しかし、果たして本当にそうなのでしょうか。今回は一般的な肌感覚ではなく、統計を基に、日本の平均年収がどれくらいか考えていきます。 ▼勤続20年でも年収は「280万円」貯蓄も「30万円」しかないのは少なすぎ!? 転職したほうが良いの?
統計上458万円が平均年収だが対象によっても多少変化する
国税庁の「令和4年分 民間給与実態統計調査」によれば、1年を通じて勤務した給与所得者の方の平均年収(男女計)は、1人当たりおよそ458万円となるようです。「一般的な平均年収」と聞くと、多くの方が400万円から500万円の間の金額をいいますが、統計的にもその感覚は間違っていないようです。 図表1
※出典:国税庁「令和4年分 民間給与実態統計調査」 ただし、男女別に見ると平均年収には大きく差がつきます。男性の場合はおよそ563万円と、平均を100万円以上上回っています。それに対して女性はおよそ314万円と、平均を下回っています。 これを正社員(正職員)かどうかで分けて見ていくと、正社員の平均年収はおよそ523万円、正社員以外ではおよそ201万円となっています(いずれも男女計)。 ここから、正社員の平均年収は523万円といえ、世間で一般的にいわれる「年収400万円台」という数値よりも、実際には高いのだということが分かります。さらにこれを男女別に見ていくと、正社員の男性は平均年収およそ584万円、女性はおよそ407万円となります。特に男性の平均年収はなんと600万円近くもあり、一般的な方がイメージする平均年収よりもかなり多いようです。 このように、雇用形態や性別によって大きく平均年収が変わる要因には、働き方が考えられます。基本的に、正社員に対してパートやアルバイトといった非正規雇用は、労働時間が短いことや、そもそもの賃金が少ないことも珍しくありません。特に女性の場合は、結婚や出産を機に退職する方、非正規雇用や時短勤務を選択する方も少なくないのです。
20代や30代で平均年収未満でも、焦ることはない
平均年収について気にしているのは、中高年の方だけではありません。これから結婚や子育て、老後などお金のかかる時期に差し掛かるであろう、20代や30代の方もいます。 その点に関して、20代や30代で平均年収に近い収入がないからと、焦る必要はないでしょう。 先に見てきた統計において、1年を通じて勤務した給与所得者の平均年齢はおおむね46歳前後、平均勤続年数は10年前後であるからです(図表1参照)。日本にはまだまだ年功序列が色濃く残っている会社も珍しくなく、20代や30代のうちに、平均年収のような500万円前後を稼ぐことは、そう簡単ではないのです。 無理に若いうちに稼ごうとせず、年齢とともにキャリアを重ね、焦らずじっくり収入を上げていくのがいいでしょう。