この夏、日本の宇宙開発の歩みを振り返る(1)
2人のコメントには個性が感じられます。諏訪さんからはまじめさと堅実さが感じられました。 「コクピットの中がこんなに忙しいものだとはほんとに知らなくて、出発してから到着するまで、ほぼ休みなく何かしているという状況だった。最初のうちはスイッチの場所とか、プロシージャ(操作手順)の意味もわからず、それをこなすのに精いっぱい。 そうするといろんなことを忘れてしまう。例えばお互いいろんなことを確認し合いながらミスがないようにしなくてはいけない。その確認も若干おろそかになったりしたが、何回か飛行を繰り返すうちに慣れてきた。何か繰り返し反復してやるということは、重要と改めて感じた」 一方、米田さんはまさに好奇心の塊のようでした。それも宇宙飛行士の必要な資質だと思います。 「スイッチがこういう仕組みになっているんだというのとか、ここがこう動くのかというのがわかっていく楽しさが最初あった。ある種、コクピットに入っていく時に初め何も知らない状態だと、ピントがぼやけたような、ただただ、何か広がっているなというだけだが、一つ一つ知っていくと、ピントがあったような感じがしていく。 そうすると、解像度がより深くわかるようになっていく。教えていただいたこと、訓練で培ってきたことによって、私自身がピントの合うようなレンズをたくさん持って、色鮮やかに……そういう中で感じたものをいろんな方々に伝えていって、私自身も成長していけたらというふうに思っている」 ピントが合う――なかなかの表現です。「フォトグラフィックメモリ」という言葉があります。映像記憶とも呼ばれ、見たものをその場で瞬時に、かつ鮮明に記憶できる能力のことを言いますが、米田さんにはそうした能力が備わっているのかもしれません。 諏訪さんと米田さん、2人は順調にいけば、来月には基礎訓練を終え、その後、晴れて宇宙飛行士として認定される見通しです。候補者決定の記者会見から約1年半、訓練施設では着実に成長している諏訪さん、米田さんの姿がありました。 (了)