李在明批判横断幕の設置不許可→許可 自ら偏向疑惑を招いた韓国選管、後始末できるのか【12月24日付社説】
韓国中央選挙管理委員会は、韓国与党・国民の力所属議員に対して「内乱の共犯」と記した横断幕を許可した一方で、「李在明(イ・ジェミョン)は駄目です」と書かれた横断幕の設置を不許可とした。「李在明は駄目です」の横断幕は「事前の選挙運動になる恐れがある」から駄目で、与党議員を「内乱の共犯」とした横断幕は「事前の選挙運動にならない」から設置は可能という論理だ。すると選管に対して「大統領弾劾訴追案が憲法裁判所で認容され大統領選挙が前倒しで行われ、李在明代表が大統領候補になることを既成事実化しこれを前提としている」との批判が相次いだ。最終的に選管は23日、委員長主催の会議で「李在明は駄目です」の横断幕は事前の選挙運動にならないとして設置を認めることにした。その理由について選管は「表現の自由を幅広く認めるため」と説明している。 【写真】「そんなことだろうと思った!」 与党議員が選管の偏向的な態度を新しい横断幕で批判
尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は「選管による不正選挙疑惑」を非常戒厳令を宣布した理由の一つだと説明した。尹大統領は具体的な証拠は提示できなかったが、韓国社会の一部で不正選挙への疑惑が根強いのは事実だ。このような状況にあるからこそ選管はいかなる決定を下す際にも慎重に慎重を期さねばならない。ところが今回は憲法裁判所による弾劾審判の認容と大統領選挙前倒しを既成事実として決定を下してしまった。あまりに軽率な対応と言わざるを得ない。これだから選管には不正選挙陰謀論がいつまでも付いて回るのだ。 選管は「文在寅(ムン・ジェイン)政権では一貫して共に民主党を擁護した」との指摘を受けてきた。選管は2021年4月のソウル市長補欠選挙の際、「補欠選挙なぜするの?」というキャンペーンを「朴元淳(パク・ウォンスン)元ソウル市長、呉巨敦(オ・ゴドン)元釜山市長を連想させる」との理由で不許可とし、「ネロナムブル(自分がやったらロマンス、他人がやったら不倫。ダブルスタンダード)」「偽善」「無能」などの言葉も「特定の政党を連想させる」という納得しがたい理由でやはり不許可とした。これらの決定が笑い話のように語られると、選管は22年の大統領選挙で「ネロナムブル」の使用を許可した。 金命洙(キム・ミョンス)元大法院(最高裁判所に相当)長が指名した大法官らが選管の委員長だった当時、選管では政治偏向問題に加え「かご投票」や職員の世襲採用などが表面化し、そのたびに選管は再発防止を約束した。ところが今回、非常に緊張した時期にもかかわらず、またも偏向問題を自ら招いてしまった。 選管はつい先日、不正選挙疑惑を指摘するだけで処罰できるとする法改正に向け準備を進めると発表した。不正選挙疑惑が戒厳令の一つの原因にまでなったため、これを根絶するという意味合いだが、このような対応は逆に表現の自由を侵害する恐れがある。「不正選挙疑惑などあり得ない」と立証したいのであれば、選管は国民を脅すのではなく、まずは偏向した決定を下さないようにすべきだ。こんな問題が繰り返されるようでは、選管だけでは後始末できない事態がいつか起こるかもしれない。