「上げ馬神事」は動物虐待なのか? 批判受け姿消した“象徴” 会場は口論で騒然…
様々な意見が飛び交う中、いよいよ本番が始まりました。一番手の馬が無事に坂を駆け上がると、大きな歓声が上がります。 しかし、観客からは「醍醐味はなくなったね」「すごい感激したんだけど、本当は壁のあるのを上ってほしかった。神事なのに(壁の撤去は)なんかちょっと残念だな」という、様変わりした姿に物足りないという声も漏れました。
そんな中、坂のすぐそばでは動物愛護団体が抗議活動を展開。メンバーの一人は「地域の伝統が途絶えちゃうという問題もあるとは思うんですけど、お馬さんが声を上げられない気持ちの代弁をしています」とインタビューに答えました。ところが、このような抗議活動を見た観衆の一部が反発。「なんで力尾と戸津だけガタガタ言われなあかんのや!」と口論になる場面も。
いつもとは違う緊張感が漂ってはいたものの、6頭の馬は全てけがなく坂を駆け上がることに成功しました。指導役として祭りを見守った中村さんは、さらに安全な祭りになることを願っていました。 騎手の指導担当 中村勇さん: 「(引退した競争)馬が次に生きていく道筋を作ってあげることが、祭りが認めてもらえる役目になると思うので、馬をかわいがる文化が根付くような地区に、これから変わっていけばいいんじゃないか。それが本当に願っていること」
今年は、土壁の撤去の他にも、坂の傾斜を緩やかにしたり、すべり止めの砂を導入するなどの対策が取られました。その結果、去年は18回中3回成功でしたが、今年は9回中9回成功しています。 転換点を迎えた上げ馬神事。新たな形の模索は、これからも続きます。