ビットコインは年初から40%上昇したが、リスク調整後のリターンではゴールドが上回る
ビットコイン(BTC)は今年に入って40%以上も上昇し、主要な株式指数、固定利付証券、ゴールド(金)、さらには地政学的な緊張の高まりを受けて最近上昇した原油さえも上回るパフォーマンスを見せた。 しかし、ゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)が追跡しているデータには、絶対的な観点で見た際のビットコインの素晴らしいパフォーマンスは、そのボラティリティを補うには不十分であることが示されている。 ビットコインの年初来のボラティリティに対するリターン比率は10%未満であり、業界をリードするゴールド(金)のリスク調整後リターン(約20%)を大幅に下回っている。この比率は、投資がリスク/ボラティリティ単位あたりに生み出すリターンを測定するものだ。ゴールドは絶対値では28%上昇している。 実際、ゴールドマン・サックスの10月7日付の「Oil on the boil(煮えたぎる原油)」と題されたメモのチャートによると、イーサリアム(ETH)、日本のTOPIX、S&P GSCI商品指数エネルギー&メタルは、ボラティリティに対するリターン比率がビットコインよりも低い成長重視型投資であることが示されている。 この比較的低いリスク調整後パフォーマンスは、ビットコインは変動が激しすぎてゴールドのような安全資産にはなり得ないという、暗号資産(仮想通貨)に懐疑的な人々の長年の見解を裏付けるものだ。 また、先週はイランがイスラエルにミサイルを発射し、中東の緊張が高まった後、株式市場とともにゴールドが上昇し、ビットコインが急落した理由も説明できる。 リスク調整後リターンが低いことから方向性への賭けは魅力がなく、伝統的な機関投資家によるビットコインのキャッシュ・アンド・キャリー・アービトラージの人気の高さを説明できるだろう。このアービトラージ戦略により、トレーダーは価格変動リスクを回避しながら、現物市場と先物市場の価格差から利益を得ることができる。 |翻訳:CoinDesk JAPAN|編集:井上俊彦|画像:Shutterstock|原文:Bitcoin Up 40% YTD, but Gold Wins on Risk-Adjusted Returns
CoinDesk Japan 編集部