〈自民党選挙裏金疑惑〉「すがっち」=菅義偉? 公職選挙法違反で実刑判決がくだった河井克行氏の自宅から見つかったメモの”疑惑”を菅氏に突撃取材
検察の意外な反応
安倍政権の裏金提供疑惑を報じて以降、中川は検察の反応が気になっていた。 一連の記事では、特捜部が裏金を提供した政権幹部ら4人に聴取せずに捜査を終えていたことも書いたからだ。検察にとってはうれしい記事のはずがない。 中川は数日後、ある検察幹部を訪ねた。記事の受け止めを聞きたかったからだ。 「報道をご覧になりましたか。どうでしたか」と尋ねると、「報道は承知しています。しかし、個々の記事について特にコメントはしません」。 表情をぴくりともさせず、通り一遍の答えが返ってきた。 だが、それに続く言葉は少し違っていた。「中国新聞さんの報道は理解をしていますよ、それは言えます」。 うつむき加減だった中川が顔を上げると、検察幹部の表情に怒りや冷たさは見受けられなかった。 「私もあの本、『ばらまき』を買いましたからね」。その後の雑談からも、決して怒りはうかがえない。むしろ報道を評価しているように感じた。 取材班が確実な事実に基づいて報じているからだろう。記事は何も間違っていない─。そう確信を持つには十分だった。
---------- 中国新聞「決別 金権政治」取材班() 2019年参院選広島選挙区を巡る大規模買収事件が発覚して以来、「政治とカネ」の問題を追い続ける。地元の広島県のみならず、全国に取材を広げて問題点を掘り下げ、政権中枢の「裏金」にも切り込んだ。 ----------
中国新聞「決別 金権政治」取材班