「高速VS下道」少しでも早く帰省するには? 年末年始の渋滞予測「前年比1.5倍」で“ノロノロ運転”不可避
こまめな車線変更もあまり意味はない
また、渋滞の中でこまめに車線変更するドライバーもいるようだが、これも経験則的には大差ない。接触事故などを起こしてしまうと事故処理で大幅にタイムロスをしてしまうし、その後も大変なことになる。 最新のADAS(先進運転支援システム)を搭載しているクルマであれば、渋滞時に先行車に追従して速度を調整、車線を維持する機能がついている。むしろ、そうしたADASを活用することで疲労を減らして、帰省先で存分に楽しむ体力を温存するほうがスマートな帰省ドライブといえるのではないだろうか。
渋滞回避の王道は日時ずらしだが
さて、渋滞回避の王道は「日時をズラすこと」だ。これはNEXCO各社も推奨している。 年末年始10日間における渋滞予測の内訳をみると、下り線が95回、上り線が147回となっている。単純に平均値をとると下り線では毎日10回弱、上り線では15回程度の渋滞が発生することになる。だが、実際には渋滞が発生する日は特定の日時に集中している。 たとえば上り線の渋滞については1月2日~4日までの3日間で、111回が発生すると予測されている。これは予測されている渋滞回数の実に約75%だ。逆にいえば、この3日間を外せば、壊滅的な渋滞に巻き込まれることは避けられると期待できる。 NEXCOの予測でも、12月31日と1月1日にはほとんど渋滞が発生しない。せっかく帰省するなら実家で新年を過ごすことが最大の目的と考えられ、この2日間に渋滞が起きづらいのは当然ともいえるが…。 もちろん、多くの人が仕事の都合などもあって休暇の日程を自由に選ぶことができないため、上り線でいえば新年の3日間に渋滞が集中してしまうわけで、「わかっちゃいるけど避けられないんだよ」という声もあるだろう。
日程ずらしがダメなら時間帯ずらしも
それならば、時間帯をズラすという手がある。 たとえば、1月3日の東北自動車道・上り線では埼玉県の加須(かぞ)インターチェンジ付近を先頭に最長35kmの渋滞が予測されている。時間帯としては、お昼過ぎから渋滞が伸び始め、ピークは17~18時になるとされている。 この時間帯を外し、午前中のうちに通過できるようにする、もしくは思い切って渋滞が解消するであろう23時過ぎに通過するスケジュールを選ぶという時間帯のシフトは、渋滞回避の有効な手段といえる。 このあたり、帰省するエリアと帰宅すべき場所の関係で、適切な時間帯は十人十色となる。事前の渋滞予測をチェックして、自分のベストといえる時間帯のめどをつけておくといい。 いずれにしても、2024年は前年比で渋滞回数が増えるという予測があるのだから、早めにスケジュール調整をするなり、最大限の工夫をすべきだろう。
渋滞回避の時間ずらしで注意すべきこと
なお、渋滞を避けるために、早朝や深夜の出発がベターとなることもあるだろう。そこで気を付けたいのは慣れない時間帯に走る危険性だ。 暗い時間帯は事故リスクがどうしても高くなりがちだ。「急がば回れ」ではないが、大事なのは安全であることはいうまでもない。早朝や深夜の走行を選ぶにしても、無理無茶はしない。そうした判断も、それはそれで賢明だろう。 むかしから「無事是名馬」「帰宅するまでが遠足」という。年末年始だからこそ、時間がかかっても安全走行を最優先し、最後まで気を抜かず、気分よく自宅で新年を迎えてほしい。
山本晋也